自分の動物的な部分を引き出してくれる環境で出産を
ーーかねてから海外での出産を考えていたのですか。
コムアイ 妊娠するまでは、特に考えてなかったです。その時に住んでる場所で産めばいいと思ってたんですけど、日本で出産したい場所が思いつかなくて。
出産するってことは、自分が動物になるというか、動物であるということを思い出す機会になるだろうなと思っていて。「この現代社会になっても、いまだに全員の命がお腹の中で育まれることは変わらないんだな」と。実際に妊娠したことで、それを感じるようになって、出産も、自分の動物的な部分、生命的な部分を引き出してもらえるような環境でしたいと思っていたんだなって。
でも、それは後になって気付いたんですけど。
ーー日本以外でも、都市部は考えていなかったんですね。
コムアイ 海外ならどこでもいいってわけではなくて。まず、インドが選択肢としてありました。
太田 僕は真っ先にインドを思い浮かべたんです。彼女はインドによく行っていたし、知り合いもいるから安心できる環境だろうなと思っていたんです。
コムアイ インドで歌の先生のファミリーにお世話になっていたんですけど、そのお家はお父さんが薬剤師なので西洋医療だろうなーと。そうなると受け入れてくれるだろうけど、病院で産むことになるんだろうなって。
でも、インドもアマゾンも、私たちが訪れたコミュニティは、日本で生まれ育った自分からは考えられないほど、当たり前のように外から来た人をあたたかく受け入れてくれる。特に、お母さんたち。毎日、違う家の人がご飯を食べに来てるけど、全然気にしていないって感じで。そういう受け皿のあるところがいいなって。
生活をずっと一緒にして、まるっと甘えてっていうことをしてきたのは、近年だと海外のほうが多かったから、海外だから不安ということはなかった。必ずしも言語が通じるとか血の繋がりがあるとかずっと住んでいるとか、そういうことだけが安心になるわけではなくて。
2024.09.12(木)
文=平田 裕介