出産前は自分の中に他人の呪いの言葉を入れたくなかった
ーー出産して戻ってきてからは、イヤなコメントは。
コムアイ 戻ってきてからはないかな。でも「危ない目に遭えばよかったのに」みたいなことを言う人はいた。
太田 「注意を喚起するためにも、あっちで事故ればよかったのに」みたいなツイートも。
ーー怖いですね。
コムアイ いろんなリスクを考えて決めたことなので。アマゾンがどういう場所だとか、光海君とどうやって信頼関係を築いてきたのかを分かっていない人たちから何かを言われても、判断材料にならないから見なかったですね。
あと、出産ってまじない的な部分も大きいと思うんです。産む前は、わたしに出産なんてできるはずない! と思っちゃうんですよ。やったことないから。でも、赤ちゃんもお母さんもそこを頑張って乗り越える。やれると思ってなかったことをやれるって人生の醍醐味じゃないですか。だからこそ、生命力が得られると感じたし、ことさら言霊がすごく大事だと思って、出産前は自分の中に他人の呪いの言葉を入れたくなかったです。
太田 たしかに。毒のある言葉が入っちゃうことを避けるようにしてました。日々のストレスを減らして、仕事をあんまり入れないようにしてたりとか、2人でゆっくり散歩をするようにしていたりとか。
コムアイ 楽しくしていることが、すごく重要だと思いました。妊娠してる人には、とにかくそれを大事にしてほしい。自分の直感とか、なんだか理由は分からないけど「これがしたいな」とか、「もっとこうしたら楽しいのにな」みたいな気持ちをすごく大事にして、生き生きと過ごしていただきたい。
あ、でもこれは妊婦が頑張ることではなくて、まわりのひとや社会次第です。それがいいお産にもつながると思うし、産まれたあとの家族の関係にもつながっていくと思う。
お母さんが楽しくしていれば、お腹の赤ちゃんが出てくる世界が楽しそうだってことを子宮にいながら体感してもらえると思うな。
写真=橋本篤/文藝春秋
〈「簡単に別れられちゃうのは悪いことじゃない」恋人同士のままで子供を持つ選択をしたコムアイ&太田光海が、日本で感じた“違和感”〉へ続く
2024.09.12(木)
文=平田 裕介