太田 してた。なんだろう。ホルモンに近かったかもしれない。
スーリと呼ばれる幼虫「生きているヤツをそのまま」…
ーーキャッサバで作った酒のチチャをアニータに勧められたとのことですが、他には?
太田 妊娠中に勧められたのは、葉っぱやきのこ。キャッサバやさつまいも。あと特に、スーリと呼ばれている幼虫ですね。
ーータンパク源になるんですかね。
太田 でも、彼らは必ずしもタンパク質という栄養基準で考えているわけでもないと思うんです。ずっとそう言われてきたから食べているというのもあるだろうし。
コムアイ アニータに「妊婦はスーリが食べたくなるものよ」と言われていて。すごく上品な味で、おいしかったです。要は慣れているか、慣れていないかの話であるから。
ただ、生で食べるんですよ。生きているヤツをそのまま。それが一番栄養価が高いんですけど、動いているんですよ。さすがに動いているのを食べるのは抵抗があったけど、食べたら「あ、うまっ」って感じで。でも最後まで慣れはしなかったかな。
ーーカブトムシの幼虫に似た見た目ですか。
太田 そうです。
コムアイ 成虫もカブトムシに似ていて。成虫も食べている女の子がいましたが、村の人たちは幼虫の方が好きみたいです。
ーーなかなかハードルが高いですが、みんなが「うまい、うまい」と言ってムシャムシャ食べているのを見たら、思わずパクッと口に入れてしまいそうですね。
コムアイ そうなの。みんなが「ほら、分けてあげるよ」って貴重なスーリをくれるんです。そうなると「わー、ありがとう! おいしくいただきます!」となっちゃう。
太田 普段は、そんなに量を食べないんです。前に僕が5ヶ月くらい1人で滞在してたときは、何回かしか食べる機会がなくて。今回は村にやってきたコムちゃんが妊婦だということで、みんながとにかく食べろと持ってきてくれて。
コムアイ さっき、自治政府があるって話したじゃないですか。その会議の途中で「よし休憩」となって、軽食が用意されたんですけど、それがポップコーンの山とスーリでした。「どんな組み合わせだよ!」と思ったけど。みんな、圧倒的にスーリに手を伸ばすんですよ。もうガンガン食べてて。
2024.09.12(木)
文=平田 裕介