波を穏やかにする鍵は脳と血行
では、女性ホルモンが過不足なく分泌されるかどうかは、何によって決まるのだろうか。
「ごく簡単にメカニズムを説明すると、脳からの『女性ホルモンを分泌して』という指令で、卵巣からエストロゲンやプロゲステロンが分泌され、その刺激で変化した子宮内膜の状態が脳にフィードバックされ、また指令が出されます。(下図参照)
脳で指令を出す視床下部は自律神経の中枢でもあるので、自律神経のバランスが崩れていると、女性ホルモンの分泌にも影響が出ます。反対に、加齢によって卵巣機能が低下しエストロゲンが減少すると月経が不順に。フィードバックにより脳が『もっと女性ホルモンを分泌して!』と過度に指令を発するため、自律神経が乱れてしまうことがあります」
“ホルモンのせい”だから、大きな波には、身を任せるしかない?
「そんなことはありません。生活習慣を整えることで、大きな波を穏やかにできます。最初に、ホルモンは血流に乗って運ばれるとご説明しましたが、血行がよい状態を維持するにはウォーキングや軽い筋トレなど、適度な運動が必須。指令を出す脳を休めるためにも睡眠時間は確保したいですし、体をつくる食事ももちろん大切です」
近年は若い世代でもストレスなどからエストロゲンの分泌量が一時的に減り、ほてりや多汗など更年期のような症状に悩まされる人が増えていると聞くが……。
「思い当たる人は、生活習慣を見直すとともに、婦人科を受診しましょう。血液検査で女性ホルモンの検査を行えますし、漢方薬、低用量ピル、ホルモン補充療法などの選択肢もあります。婦人科系の心配や症状は、決して軽視しないでほしいです」
2024.11.02(土)
文=今富夕起