ただ、13年前に、しかも冷凍食品メーカーのホームページで、ミュージシャンがうどんを食べ歩く企画というのは、一般的に違和感の方が大きかったんです。
「なんでミュージシャンが、うどんの連載やってるの?」っていう反発というか、見え方の方が圧倒的に多そうだった。
でも、僕はどうしても自分が参加して、食べ歩きたかった(ただの食いしん坊ですね)。
そこで、たどり着いた結論が、名前を伏せて純粋にライターとして参加すればいいんじゃないか! と。
もともと、自分の名前を出したくて企画したわけじゃありません。
純粋に、東京中の美味しいうどん屋さんを応援しようという企画です。
そしてもっと純粋に、自分が食べ歩きたくて出した企画です(笑)。
だったら、名前を出さずにただのライターになればいいんだ! というわけです。
取材時に何度もお店で驚かれる!
お店の方にも事前に「ホフディランの小宮山雄飛が」と伝えるわけじゃないので、僕が行っても気づかない店主さんもいれば、中には「え!?」と混乱される店主さんもいました(笑)。
「なんでホフディランさんが来たんですか!?」
「CD持ってますよ!」
などと声をかけてもらえることもあり、なんだか不思議な空気でそれはそれで可笑しかったです。
身元がバレても取材はしっかり
ホフディランだと身バレする場合があっても、あくまでこの日は純粋なライターですから(笑)、取材はしっかりしました。
「粉はどこ産ですか?」
「加水率はどのくらいですか?」
「出汁はなにでとってますか?」
「ご主人はこちらを始める前はなにをされていたんですか?」
いつもは取材される側ですが、この連載では完全に質問する側です。
素材や作り方のことはもちろん、ご主人の料理人歴や、普通じゃ聞けないそれぞれのお店の裏事情や経営の苦労話まで、さまざまなことを取材という形で伺いました。
テレビや雑誌で、あくまでタレント側としてお店を訪れる時って、出てくる料理を食べて「美味しいですねー!」とかって感想は言いますけど、ご主人とそんなに詳しい話はできないですし、まして裏話みたいなのは聞けないですからね。
2024.08.25(日)
文=小宮山 雄飛