上野からJR常磐線快速に乗って松戸、柏を過ぎると次に止まる駅が我孫子駅である。だいたい33分で到着する。我孫子駅には何があるのか。ずばり「弥生軒」である。「唐揚げそば」は弥生軒を代表する一品だ。

山下清画伯がいた有名店

 我孫子駅を利用また通過している人で知らない人はいないだろうし、女子学生でさえ一度は食べたことがある、ある意味我孫子のソウルフード的存在である。

 そしてもうひとつ、山下清画伯が昭和17(1942)年から5年程働いていたことでも有名な店で、芦屋雁之助さんや塚地武雅さんが山下清を演じた「裸の大将放浪記」は人気テレビ番組だったから、ピンとくる人も多いと思う。芦屋雁之助さんは山下清と瓜二つだったというのが面白い。しかも塚地武雅さんは大の立ち食いそばファンである。

 ゴールデンウィークが明けた平日の午後、久しぶりに「弥生軒」を訪問してみた。

 弥生軒は昭和3(1928)年、我孫子駅で弁当の販売としてスタートした。今の3代目社長、植崎和基さん(64歳)の祖父が創業した。駅そばの販売は昭和42(1967)年頃から。唐揚げの販売は平成に入った頃、植崎さんが開発し発売した。

我孫子駅に3店舗

 常磐線下りホームに降り立つ。我孫子駅は成田線の乗り換え駅としての機能もある。下り線ホームに降り立つと、ちょうどホームの中央に「弥生軒6号店」が営業している。下り線ホームにはもう1店「弥生軒8号店」がありそちらは11時半から営業を開始する。上り線ホームには「弥生軒5号店」が営業している。昔はもっと古めかしい造作だったが、5年前くらいに改装し随分と綺麗になった。「6号店」の営業時間が一番長く朝7時から夜22時まで。弥生軒のドル箱的店舗である。店は朝から満員だ。サラリーマン、学生、女性客、年配者、あらゆる世代が店を利用している。電車が到着すると、波が押し寄せる様に数人が入店する。そして大半が「唐揚げそば」を食べる。我孫子駅には3店舗ある。我孫子の1つ先の天王台駅にも1店舗あるので合計で4店舗営業している。

2024.05.30(木)
文=坂崎仁紀