世界遺産「姫路城」年に一度“秋冬限定のライトアップ”

 秋から冬にかけて、しだいに寒くなってくるこの季節。秋の紅葉も、冬のイルミネーションも楽しみたいという人に、とっておきの観光地があります。それが、姫路市です。

 “白鷺城”の異名を持ち、日本で唯一“城の世界遺産”になっている兵庫県・姫路市の「姫路城」では、11月22日(金)から12月11日(水)まで、この季節限定の幻想的なライトアップイベント「Himeji Castle History 鏡花水月(きょうかすいげつ)」が開催されています。

 会場となっているのは姫路城の「三の丸広場」で、今年は「お城の下の雅な夜」をコンセプトに、江戸時代の姫路城周辺を再現。場内は大きく8つのエリアで構成され、それぞれのコンセプトやテーマに沿った演出が楽しめます。

 そのひとつが、かつて城内に存在していたとされている「向屋敷(むこうやしき)庭園」の再現。美しい日本庭園の池の水鏡をよみがえらせ、水面に姫路城が映る幻想的な景観が広がります。

 また、かつて存在していたとされる「三の丸大路(※)」を、イルミネーションの光の路で再現した演出や、華やかで平和な当時のファッション“小袖”をモチーフにしたデザインの着物の柄をまとった照明タワーなど、見どころ満載。(※江戸期の姫路藩時代に、大手門から大天守の登閣口をつないでいた主要通路)

「姫路城は世界遺産なので、すべてが残っているように思われていますが、じつは現存しているのは、当時の建築物の半分くらいなんです」(姫路市立城郭研究室・学芸員の工藤茂博さん)というように、ありし日の姫路城の姿を光の演出でよみがえらせ、過去の記憶に思いをはせることができるのも、このライトアップの魅力のひとつです。

2024.11.23(土)
文=CREA編集部
写真=釜谷洋史