邸宅でいただく極上フレンチ

 広々としたキッチンは家と同様、自由に使うことができます。食材を買い込み調理することができるほか、近くの名店でケータリングを頼んで、グループで取り分けて食事をすることも。

 また、何人かの出張シェフを紹介してもらうこともできます(別途 15,000円〜(税抜き)/人。4名より予約可。シェフのスケジュールによって予約できないこともあるため、宿泊予約時に要確認)。

 この日のシェフは、鎌倉のフレンチレストラン「古我邸」で料理長を務めたのち独立した古川慶顕氏。生産者とのつながりを大切にし、新しい味の組み合わせを常に求め続ける気鋭のシェフです。市場巡りで出会った旬の食材や地元食材等を使い、美しく、印象に残るメニューを提供します。

 この日のアミューズは、芝生でのんびりと過ごすような子豚のリエットから始まりました。その可愛らしさに思わず笑みがこぼれそう。

 シロップに漬けたボタンエビの甘みと、雪の下でじっくりと熟成したバニラ風味のメークインの甘みが口の中を駆け巡る逸品。エビとじゃがいものそれぞれの甘みのハーモニーをじっくりと堪能して。

 食器は全国津々浦々の作家の元で購入した和食器をメインに。料理そのものはもちろん、提供されたときの見た目の美しさにもこだわりが感じられます。

 甘鯛は、骨とアサリ、クリームバターを炒めた濃厚なクリームと共にいただく。サクサクとした鱗の軽やかな歯応えを味わって。

 どんぐりを食べて育ったフランスのビゴール豚は、美しい赤みで柔らかく、溶けるような噛みごたえ。一口食べた時に本当に豚肉だろうかと驚く人もいることでしょう。酸味にこだわる古川シェフの自家製ホエイのソースや、未熟果ソースを絡めていただきましょう。シェフがその時に出会った食材で、あなたのためだけに作られた食事を一口ずつ味わうという至福を。

 当時の加地邸での暮らしをそのまま体感できる贅沢な時間。邸宅の暮らしを心ゆくまで堪能してみては。

 食事の後はバルコニーでゆっくりとくつろぐ時間を。暖炉に火を灯し、人との距離が近くなるように配置された椅子で家族や友人との時間を過ごす喜びを。

2024.08.14(水)
文・撮影=神谷加奈子