さらに、こうしたインパクト勝負の楽曲は「似たように感じられる」という意見もある。K-POPというのはすでに「好きか嫌いか」のジャンルとして定着し、ファンである人とそうでない人が二分された状況だったと言ってもよいだろう。
NewJeansの音楽にはそのような「K-POPファン」に属さない人々を引きつける魅力が存在する。
「K-POPとは親しくなれなかった」という大衆も…
NewJeansの曲は基本的にミニマルで自然だ。「Attention」で感じられるR&Bのムードと、「Hype Boy」のエレクトロポップ、「OMG」のジャジークラブ、「Ditto」や「Super Shy」のツーステップ、ガレージサウンドなど1980年代~90年代の音楽トレンドを積極的に取り入れ、誰もが違和感なく受け入れられるサウンドに仕上がっている。高低差の少ないメロディーラインと、印象的なサビのフレーズによる、耳馴染みのよさも特徴だろう。
「ポップミュージックは大好きだけど、K-POPとはなかなか親しくなれなかった」
そんな日本の大衆も、きっと彼女たちの楽曲には興味を持つはずだ。
■「新しいK-POP」を生み出した敏腕プロデューサー
さらに、 NewJeansの映像作品にはY2K(2000年代前後に流行したファッションやカルチャーのこと)を思わせるノスタルジックな質感がある。レトロなスタイリングと映像美によって、NewJeansがアイドルという遠い存在ではなく、「どこかで出会ったことのある少女たち」であるかのように錯覚する。
これは、NewJeansのすべてのコンセプトをプロデュースするミン・ヒジン氏の力量によるものだ。
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敏腕プロデューサーであるミン・ヒジン氏が仕掛けた“戦略”、そして、世界を魅了するメンバー5人の魅力とは……?
〈“史上最速”の東京ドーム公演に9万人が熱狂…「NewJeans」に込められた“ニッポン人が知らない意味”とは?《現地評論家が解説》〉へ続く
2024.07.23(火)
文=ファン・ソノプ、金 敬哲