この記事の連載
配信プラットフォームが活況を呈し、テレビの観られ方が大幅に変わりつつある今、番組のつくり方にもこれまでとは違う潮流が勃興しています。その変化の中で女性ディレクター/プロデューサーは、どのような矜持を持って自分が面白いと思うものを生み出しているのか。その仕事論やテレビ愛を聞く連載です。
今回は、くりぃむしちゅーファンの間では知らない人はいない!?、フリーランスで活躍する、岡部知穂さんにお話を伺いました。
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「くりぃむしちゅーさんの番組しか好きなものがなかった」
――この連載でフリーランスの方にご登場いただくのは初めてです。フリーのディレクターはどういった働き方をされているんですか?
企画を考えて台本を書いて、ロケに行って編集をして……と、フリーでもフリーじゃなくても基本的な仕事内容は変わらないですね。ただ、いろんな局の番組をやれたり、テレビ以外でもたとえば企業さんと組んだり、誰とでも仕事できるのがフリーのいちばんの魅力かなと思っています。
――くりぃむしちゅーさん(以下、くりぃむさん)が好きで、この仕事を志したそうですね。
そうですね。本格的にテレビの仕事がしたいと思ったのは中学2年くらいです。学校に行っていなかった時期があって、そのときにひたすらくりぃむさんの番組を観てました。好きなことがそれしかなくて。当時放送していた『くりぃむナントカ』(テレビ朝日/2004〜2008年)は大木(優紀)アナがくりぃむさんと並んで出ていて、「あの位置に行きたい」って最初思ったんです(笑)。でもアナウンサーは無理だと思って、何ができるか考えたときにディレクターという仕事をやってみたいなと思うようになりました。
――いつそんなにくりぃむさんが好きになったんですか? もともとお笑い好きでしたか?
親が21時以降のテレビを見せてくれなかったので、小学生の頃はお笑いをほとんど観たことがなかったです。初めてくりぃむさんを観たのは小学校5〜6年の頃でした。親戚の家に泊まった日に体調が悪くて寝込んでいて、深夜にパッと目が覚めたらリビングでおじさんがめっちゃくちゃ爆笑してたんです。「人ってそんなに笑うんだ!?」ってくらい笑ってて。ドアの隙間から覗いたら、そのときに観ていたのが『くりぃむナントカ』だったんですね。
そんなに笑ってたら気になるじゃないですか。それでおじさんの隣に行って一緒に観たら、それがもう、なんていうか、「こんな笑いがあるんだ」って衝撃で。そこから完全にどハマりしました。
2024.07.19(金)
文=斎藤 岬
撮影=平松市聖