原動力となっていた、1億金を超える「実家の借金」
岡村 おさむさんがいちばん忙しかった頃は、SMAP関連の番組をやり、片岡飛鳥さん関連の番組をやり、加えて『笑っていいとも!』とか『27時間テレビ』とか。当時話題になった番組はほぼすべて関わっていた。睡眠時間なんて全然なかったんじゃないですか?
鈴木 なかったです。実家の借金もありましたし、自分を追い込んでいた部分もあって。だいたい、放送作家の収入として月200万とか入ってくるようになるわけですよ、20代で。するとだいたいみんな勘違いするんだけど、僕は借金があるから遊べない。その足かせがあって良かったなといまは思います。とはいえ、月に百何十万とか返済に充てなくちゃいけない。
岡村 それは厳しいなあ。
鈴木 銀行、消費者金融、商工ローン。商工ローンって問題が多くて年39%もの利子がつくんです。毎月100万ずつ利子が増えるから、もう必死。俺の人生は破天荒だと思い続けるしかなかった。本当に破壊してました、自分自身を。
絶頂期のテレビ番組を、もう作れなくなってしまった理由
岡村 しかし、いまとなってはあの絶頂期の頃の『スマスマ』や『めちゃイケ』みたいな番組ってもう作れないですよね。
鈴木 絶対無理です。コンプライアンスの問題もありますが、予算ですよね。1回の収録で何千万とかけるわけですから。すごくよく覚えてるのが、『めちゃイケ』でスタジオに作ったプールに一本橋をかけてそれを渡るゲームがあったんですが、そのプールを全部マヨネーズで埋めたんですよ(笑)。
岡村 えーっ!
鈴木 マヨネーズだけで何百万。匂いなんて観てる人に1ミリも伝わらない。でも、それを「アハハハハ」と笑ってた。90年代は失われた時代の始まりというけれど、90年代後半まではバブルの残り香はあったんです。世の中は小室哲哉ブームだったし。
でも、90年代後半から00年代になってくるとテレビを観ない若者が増えてきて、F3やM3と言われる50歳以上の視聴者の取り込みが始まったんです。それによって医療ドラマや刑事ドラマが一気に増えた。それがテレビの寿命を縮めてしまったと僕は思っていて。多くの若者は、テレビはもう自分には関係ないと思うようになり、そこにYouTubeが登場したんです。
2024.07.08(月)
文=辛島 いづみ