そのとき以来の授賞式。会場は円卓着席スタイルで、結婚式場のごとき華やかさだ。森下さんによれば100名以上の出席があったという。

 先述のとおり17部門もの表彰があるので、関係者を全員招待していると大変なことになってしまう。各社人数制限のあるなかで出席させてもらい、ちょっと嬉しい担当である。

錚々たる作家の方々が!

 周囲を見ると、同じテーブルに『きみのお金は誰のため』〈人生に役立つ本(国内編)部門大賞〉の田内学さん、少し向こうには『イクサガミ』〈時代小説部門大賞〉の直木賞作家・今村翔吾さんや、『近畿地方のある場所について』〈新人(小説)部門大賞〉の背筋さんなどなど、書籍、コミック問わず多種多様なベストセラー作家が何人も出席している。なかなかありそうでない文学賞である。

 

 プレゼンターとして楽天執行役員でKobo賞の責任者・高橋宙生さんと、タレントの山崎怜奈さんが登場すると、またひときわ会場の雰囲気が明るくなった。山崎さんの進行が非常に丁寧で、あ、本好きな人だ、ということがすぐにわかる。

 特に、同じ番組でラジオパーソナリティとして共演している今村翔吾さんとの掛け合いや、『推す力』〈新書部門大賞〉での、アイドル評論家の第一人者・中森明夫さんから捧げられた熱いスピーチなどは、山崎さんならではのシーン。これは運営側の人選のヒットではないか。

「まさにそうですね。人選は非常に難しくて、とにかく本が好きな方であることと、若い層に訴求できる方ということで山崎さんに依頼しました。結果、想像以上にしっかり準備をしてくださって。もっと早くから依頼してくれれば受賞作をすべて読んでもっと深い話ができたのに、と悔しがってくれたほどでした。今村さんや中森さんとの関係性も、まったく偶然だったのですが、とてもいい彩りになったと思います」(森下さん)

感無量の受賞!

 そして、『暴食のベルセルク』や『ダンジョンの中のひと』、『悪役令嬢は死神パパに復讐がしたいのに!』といったコミックの受賞タイトル(どのタイトルがどの部門かはぜひ賞の公式サイトでお確かめあれ)に混じって、ひときわ異能……じゃなくて異彩を放つ、いや、逆に一周回って違和感がない気もしてくる『異能機関』の受賞である。

2024.06.28(金)
文=「本の話」編集部