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子どものパンダは1日に15キロほどの糞をする

 パンダは1日の大半を寝るか食べるかして過ごします。上野動物園で1日に1頭のパンダに与える竹の量は、大人で60~100キロ。子どもは5月8日(水)時点で30~50キロでしたが、現在は60~80キロに増えています。パンダはこのうち、かなりの量を食べずに残します。

 食べた量を把握するには、どうすればいいのでしょう。与えた竹の量から残った量を引いても分かりません。竹はミストをかけられるなどして、かなりの水分を含むためです。そこで飼育係は糞を全て集めて重さを量り、日々の採食状況を推測しています。1日の糞の量は、大人で約17~25キロ、子どもで約15キロです。

 主食の竹のほか、副食として「パンダ団子」も与えます。材料は大豆、米、トウモロコシなどです。1日に与えるパンダ団子の量は5月時点で、大人約400~600グラム、子ども約200~300グラム。通常なら大人は約600グラムですが、シンシンは高血圧対策で約400グラムに減らしています。副食は、リンゴやニンジンも少し与えています。

 このところ、「シャオシャオはニンジンが苦手なのでは?」との疑惑がSNSで持ち上がっていますが、シャオシャオもレイレイも6月20日(木)時点で、ニンジンについては「成獣と同様で、大きめに切って与えており、食べています」(担当者)とのことです。

 昨年2月21日に中国へ渡った長女のシャンシャン(香香)は、ニンジンが苦手としてファンの間で有名です。ただ、上野動物園にいた頃は「全く食べなかったわけではないのですよ。固形のニンジンを食べないだけで、すりおろせば食べました」(冨田さん)。そのことは、冨田さんがシャンシャンの渡航に同行した際、中国の施設の職員にも伝えました(参照:シャンシャン中国輸送大作戦の舞台裏 中国への伝言は、苦手なニンジンは「すりおろしたほうが食べます」 )。

 ちなみに最近、中国にいるシャンシャンが観客の日本語に反応したかのように見せる動画が国内外で拡散されました。しかし本当に日本語に反応したのか「信憑性はまるっきり分かりません」と冨田さんは指摘します。

「パンダが言葉の意味を理解しているかは分かりませんが、パンダに話しかけると反応するのは確かです。声を使ってトレーニングしますし。反応は、担当の飼育係が話しかける場合と、例えば私が話しかける場合で明らかに違います。おそらく音声だけでなく、総合的に判断していると思います」(冨田さん)。

2024.06.22(土)
文・写真=中川美帆