新設の浴室とくつろぎの寝室
修築の際には可能な限り当時のままの姿を残す一方、新たに浴室を設置しました。かつて使用人室として使われていたこちらを浴室に、上階の女中室を大きく開いて梁を出し、上からの光が注がれるようなスタイルです。
脱衣所にはタオル、バスローブ、シャンプー、リンス、バスソルトなどが用意されているので身軽に宿泊することができます。
洋館でありながら、広々とした湯船を楽しむ新たな価値。湯船の奥には人目を気にすることなく寝てくつろげる「寝湯」を設置。光のシャワーを全身に浴びてリラックスするのはいかが。
6名まで宿泊することができる加地邸には寝室が3部屋あり、家族やグループで楽しんだ後に、それぞれのプライベート空間でくつろぐことができます。こちらの主寝室は当時から寝室として使われていた場所で、シャワーや手洗いがあり、部屋着も準備されています。
隣接する書斎は、椅子に腰掛けると、ちょうど山々と空だけが見えるように調整されており、見晴らしも抜群。加地氏もお気に入りの場所だったそう。
木の腰壁と窓枠のレトロなデザインがかわいい子ども部屋も寝室として使用。家族やグループでそれぞれのプライベート空間を保ちながら過ごすことができるのが心地良いですね。
加地邸の暮らしを心ゆくまで
朝食は近隣のカフェ「Avec cafe & deli Hayama」のブレックファーストを召し上がれ。ロンドン暮らしが長かった加地氏を想い作られたオリジナルメニューです。
ルビーキウイなど季節の果物、ベーコンソーセージ、スクランブルエッグ、無添加マヨネーズ使用のポテトサラダサンドなど、朝から大満足。淹れたてのコーヒーと一緒に味わえば、ロンドンにトリップしたかのよう。
幾種類もの鳥のさえずりが響く、心地良い朝。鳥の鳴き声と、木々のざわめきと、自然に届く太陽光に目覚め、ゆっくりと朝食をとる贅沢。
春は桜、梅雨の時期は紫陽花、秋には紅葉と季節ごとに移ろう庭を眺め、季節そのものを味わう。この場所で過ごした1日を想い、心ゆくまで堪能して。
文化財での滞在を堪能した頃には、この暮らしが当たり前であるような不思議な感覚を覚えるかもしれません。暮らす人を想い建てられた、建築、家具、装飾の一つひとつが、語りかけてくる時間です。見学ではなく、文化財を「私のものとして使う」という贅沢。
別荘があるという世界へと連れ出してくれるようです。「来年も一緒にまた来ようね」と、共に過ごした家族や友人との特別な一つの約束の居場所ができることでしょう。
加地邸
所在地 神奈川県三浦郡葉山町一色1706
電話番号 044−211−1711
料金 363,000円(税込 1棟)
https://kachitei.link
有形文化財に泊まる
2024.06.22(土)
文・撮影=神谷加奈子
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