今回はNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』の記事を読み比べ。まず私はスポーツ紙が気になった。阪神タイガース関連で『虎に翼』は使われているのだろうか? プロ野球が開幕してからの紙面を振り返るとさっそく見つけた。

『「虎に翼」阪神躍進の予感』(サンスポ関西版4月1日)

 直球のタイトル!

 関西版の編集局コラムだがこの日は阪神の今季初勝利を伝える紙面で興奮気味。「虎に翼」は中国の書物『韓非子』に登場する言葉で「鬼に金棒」という同義語から、

《強い上に、さらに強さが加わるという意味。さぁ、日本一・阪神に加わる「翼」は誰かな?!》

 と締めていた。ゴキゲン。

“虎党”デイリースポーツは…

 さて、熱心な阪神報道といえばデイリースポーツだが、『虎に翼』で主人公を演じる伊藤沙莉にインタビューしていた。

『伊藤沙莉 朝ドラ『虎に翼』は「楽しさが勝っている。大変なところも」女性不利の時代ヒロインに共感』(4月8日)

《伊藤が演じる「トラコ」こと猪爪寅子(ともこ)は実在する日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんがモデルで女性の地位向上に貢献した人物。撮影にあたって、理解を深めるために三淵さんの通った明治大学で実際に法律の講義も受けた。》

 デイリーは伊藤から「寅子のもんもんとした気持ちを作るのにとても参考になったし、ありがたい時間でした」という言葉を引き出していた。しかしそれだけでは終わらない。最後はしっかり伊藤沙莉にアレを語らせていた。

 

《プロ野球で特定のチームのファンというのはないというが「すごく運命を感じる。やはり五黄の寅年生まれの寅子ですから。一緒にガオーってやっていきましょう」と“共闘”も誓った。》

 さすがデイリースポーツ、伊藤沙莉に阪神と「共闘」させて終わっている! こちらもゴキゲン。

 朝日新聞は憲法記念日にオピニオン欄で取り上げていた。

《NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」がすごい。主人公・猪爪寅子は「はて?」を武器に世の不条理と対峙し、あきらめずに考え続けることで敵対や分断を無効化していく。1世紀前の女性たちの話なのに、現代を生きる視聴者の「わかる!」の輪が広がり続けている。》(5月3日)

2024.05.28(火)
文=プチ鹿島