星のや沖縄にまたひとつ至福の体験が加わりました。それが「琉球ガストロノミア~Bellezza~」。
食のディレクションを手がける山口繭子さんが、その新しい琉球料理の世界観を体感レポートします。
フーディーが注目する星のや沖縄の新たな試み
◆星のや沖縄
新時代を体現するラグジュアリーホテルを展開する「星のや」。
各施設が非常に個性的でありつつ、どの宿でも温かなホスピタリティで旅人を迎えてくれるなど、ファンを惹きつけてやまない多彩な魅力が満載だ。
そして、食を目的に旅をするフーディーにとって、星のやとは「料理で挑戦し続ける宿」という印象があるのではないだろうか?
少なくとも筆者はそうである。
これまで軽井沢、京都、竹富島、富士、東京と、さまざまな星のやを体験してきたが、いつも驚いてしまうのだ。
「攻めているなぁ」と。
星のやを訪れる旅人は、何もフーディーだけに限らない。
上質を知る人々であるのは間違いないが、海外からも含め、家族連れやカップル、夫婦、友人同士と多様。そんな宿泊客に向けて、その土地の食材や食文化、歴史背景までをギュッと閉じ込めたコースを創造するのが、星のやなのだ。
そんななか、星のや沖縄が新たなディナーコースを展開すると聞いた。
「琉球ガストロノミア〜Bellezza 〜」といい、琉球ならではの医食同源の思想「クスイムン」に着想を得たのだという。これは早速行って、この目と舌で体験しなくては。
久しぶりに訪れた沖縄は、驚くほど街の様子が変わっていた。那覇の喧噪を横目に、一路北へ。サトウキビ畑ののどかな風景が広がり、豊かな自然も残る読谷村に星のや沖縄はある。
レセプションでチェックインの後、切り紙細工のように美しいグスクウォールと呼ばれる壁をくぐると、そこには美しい南国のユートピアが広がっていた。
現在の沖縄では珍しくなった自然海岸に沿うように低層の客室が並び、目の前には海。
「波打ち際の珊瑚礁に囲まれた浅瀬は、島言葉でイノーというんです」とスタッフの方が教えてくれた。
「琉球ガストロノミア~Bellezza~」までの時間は、海辺を散歩しようか、それとも波の音を聴きながら旅の疲れを癒やそうか。
あぁ、これこれ。星のやで味わえる静かで贅沢な時間を、体と脳が思い出し始めている。
2024.04.16(火)
文=山口繭子
写真=鈴木七絵