僕自身もそういう感じで、正直、高校時代は、バレーを続ける気持ちがない時期もありました。この先、バレーを続けていても何かいいことがあるのか? 何に繋がるのか? そういった葛藤があって、春高バレーで優勝した高校の人間として読んでも、共通するものがあります。「俺だったらこうだったな」「俺にはこういうところはなかったな」と、自分に落とし込んで、坪田さんの小説に没入することができました。

バレーボールにおける重要なメンタルとは!?

坪田 僕は『ハイキュー!!』に影響を受けて、中学からバレーをはじめましたし、『ハイキュー!!』を読んだから、バレーに興味を持ったという同級生も多かったですね。ただ、バレーボールの動きや、迫力を文字で書くのは難しくて、それは漫画やアニメのように、動きを見せられた方が絶対に面白い。だから『八秒で跳べ』では、登場人物たちのメンタルの部分を書こうと意識しました。

柳田 確かにメンタルな部分は、結構、読みながら感じていました。すごい考えすぎていて、何だか大丈夫か、と(笑)。

坪田 高校生にしたら考えすぎかもれないし、どうしてもうじうじした、主人公を書きがちなんですよね(笑)。

柳田 バレーボールにおけるメンタルは確かに重要だと思うし、これだって非常に表現することが難しいですよね。たとえば、局面が変わっても同じプレーができる、どんな苦しい場面でも、練習で落とし込んだ技術の再現性がある。その上で必ず結果を残せるのが、プロなわけですけど、高校生はそういうわけにはいかないのが、僕自身の経験としても分かります。

 

杭州アジア大会の主将として

坪田 どうしても今回、柳田選手に聞いてみたかったことがあるんです。昨年の杭州アジア大会で、日本代表Bチームのキャプテンとして、多くの年下の選手を従える役割になってきたのかと、勝手に想像していました。そういう役割の変化によって、試合中のメンタルも変わってくるんですか。

2024.04.26(金)
写真=榎本麻美
ヘアメイク=k.e.y小池康友
協力=東京グレートベアーズ