メインもデザートも桜色! 春のアートを料理で満喫
魚料理の食材は桜鯛。実は真鯛のことなのですが、春の産卵時期にはオスもメスも繁殖色の鮮やかな桜色に色が変わるため、この季節だけ「桜鯛」というなんとも風流な名で呼ばれるそう。皮目はカリッと香ばしく、身はふっくらと仕上げたポワレでいただきます。
添えられているのは、トマトと春キャベツのエチュベ。エチュベとは野菜そのものの水分だけで蒸し焼きにする調理法で、今回は柔らかな春キャベツの水分がたっぷりと染み出し、自然な甘さのソースとなっています。トマトの色みが全体を桜色に染めており、まるで春の景色を描いた水彩画のようです。
いよいよメイン料理。登場したのは、この季節が旬だという仔牛肉のローストです。
牛の出産時期は春。欧米では、生まれてまだ草も食べていない乳飲みの仔牛肉が最高級とされているため、春から初夏にかけて出荷される仔牛肉が何より喜ばれるのだそう。
「使用している仔牛のロース肉は、あまり脂身がなくさっぱりとした味わいが特徴です。そこに、キノコや玉ねぎ、生クリームで作った濃厚なブランケットソースを合わせることで旨みがプラスされ、口当たりも滑らかになります」(庵原シェフ)
外は香ばしく、中はしっとりと焼き上げられた仔牛肉は美しいロゼ色で、たとえるなら華やかな八重桜でしょうか。ほのかにミルクを思わせる仔牛ならではの旨味にブランケットソースが優しく寄り添い、満足感あふれるメインディッシュでした。
目と舌で楽しませてくれた春のコースは「桜香るジュレと苺のパルフェ」、そしてカフェと小菓子で締めくくり。食べるのが惜しくなるような愛らしいビジュアルのデザートは、ほんのり桜が香るジュレをベースにフルーツ、スポンジケーキ、アイスクリーム、そして甘酸っぱい苺がたっぷり並び、気持ちも明るくなるような爽やかさです。
目と舌で春を満喫させてくれる「ラー・エ・ミクニ」の「春の桜祭り」。この時期はMOMATでも「美術館の春まつり」というイベントが開催されています。春を探して美術館とレストランを巡る、なんていう贅沢な休日を過ごしたら、心まで豊かになりそう。この季節だけのアートに浸るひとときを、竹橋で過ごしてみませんか?
ラー・エ・ミクニ
所在地 東京都千代田区北の丸公園3-1東京国立近代美術館内
営業時間 ランチ 11:30~15:00
ディナー 17:30~21:00
定休日 日曜のディナー、月曜(祝日または振替休日の場合は翌火曜)※3月25日(月)は営業
https://lart-et-mikuni.jp
[春の桜祭り]
◆ランチ
3月15日(金)~22日(金) 11:30~15:00(L.O.14:00)※各90分
メニュー ディ ピッコロ 4,800円、メニュー ディ サクラ 6,500円
3月23日(土)~4月7日(日) 11:30~13:00(L.O.12:00)、13:30~15:00(L.O.14:00)※完全2部制
メニュー ディ サクラ 6,500円
◆ディナー
3月15日(金)~3月22日(金) 17:30~21:00(L.O.19:00)
メニュー ディ グランデ 6,800円、メニュー ディ サクラ 10,000円 ※いずれも別途サービス料10%
3月23日(土)~4月6日(土) 17:30~21:00(L.O.19:00)
メニュー ディ サクラ 10,000円 ※別途サービス料10%
※時期によっては混み合うのでウェブサイトからの事前予約がおすすめ
2024.03.27(水)
文=張替裕子(Giraffe)
写真=杉山秀樹