今やギフトといえば、まずここの香りをまず思い浮かべる人がとても多いと言われる。でもなぜ? それはジョー マローン ロンドンが、贈られる運命のもとに生まれた香りだからなのである。
ジョー マローン ロンドン以前と以降、そう言われるのはなぜ?
その時明らかに、香りの意味が変わった。今やフレグランスの代名詞ともなったジョー マローン ロンドンの誕生。それは、香りのルネサンスとも言える静かな衝撃をもたらし、人と香水の関係性を明らかに変えたのだ。自然界が持つ芳しさを油絵のように描写して、洗練を加えるような香りの創造、それは人が纏ってもいいし、部屋に飾ってもいい、心に染み込ませてもいい、そして人に贈ってもいい……香りの潜在能力の全てを引き出すような革命をそこに感じた。モードやトレンドを超え、人と香りが最も密接に官能的に関わる時間をくれたのである。
ギフトに理由などいらない。「Just Because」その“理由なき理由”に宿る高揚感
それは“香りギフト”の意味まですっかり変えてしまった。好き嫌いがあるものだからと、人に贈るのには不安が伴う“香り”。でもジョー マローン ロンドンの香りにはその不安がない。それどころか誰かに贈りたい、あの人に贈りたい、あの人にもあの人にもと、不思議なまでの衝動に駆られるのだ。記念日だからギフトは何にしようかと考えて辿り着くのではない。何の理由もなく贈りたくなる瞬間ってあるのだと、改めて気づかされた。
奇しくも、このブランドのギフトメッセージは「Just Because」、まさしく「ギフトに理由などいらない!」そう訳せるはずで、確かに理由のないギフトほど歓喜に満ちたものはない。贈る側はワクワクが止まらず、贈られる側は不意を突かれて感動する。記念日ギフトの何倍もの高揚を生むはずなのだ。いや、その“理由なき理由”にこそ、贈る人の温かくも深い想いがそっくり込められることに気づいてほしい。
天才的なギフトパワーを決定的にしたのは、ここだけの圧倒的なハーモニズム
この生まれながらの天才的なギフトパワーにも、じつは明快な理由がある。自然界の香り2つを主役にして巧みに組み合わせる仕組み、そこに得もいわれぬ洗練が生まれるのだ。例えば、平凡な単色もグレーにピンクとか、グリーンにネイビーとか、2色を組み合わせるといきなり洗練が生まれるように、2つの香りの掛け算も思いがけないハーモニーを生む。だからオーセンティックなのに、心憎いほどひねりの効いた、どこにもない香りの妙が、好き嫌いを超えて誰をも魅了するのだ。
そういう意味での最高傑作にして不動のNo.1人気を誇るのが、イングリッシュ ペアー&フリージア。洋梨とフリージア、そのありきたりではない情緒豊かな組み合わせが、全く奇を衒わずに人々を虜にしたからこそ、香りの静かな革命と言えるのだ。ちなみに、洋梨からの香りの抽出は困難を極めたが、どうしても洋梨でなければとのこだわりが奇跡の調和を生み、そうやって創造されたのがこのトップ オブ ギフトなのである。
2024.03.18(月)
文=齋藤 薫
撮影=吉田 歩
スタイリング=矢内麻友