化粧品を贈ってみたいけれど、いいのかな? どう選ぶ? と悩む人もいるかもしれません。
“美を贈る”化粧品ギフトの考え方、選び方を、美容ジャーナリスト齋藤薫さんが語ります。
白雪姫の継母は、化粧品を贈りはしない
贈りものは愛のかたまり……そう信じたいけれど、贈りもののすべてが愛を宿せるわけでない。それがギフトの難しいところ。でも、“美を贈る”という行為には必然的に愛が込められるという話をしたい。
なぜなら美のギフトには、キレイをあげたい、キレイになってほしい、との純粋な願いが込められるから。美はうっかりすると独りよがりなものになりがち。自分さえキレイならいい、誰も自分よりキレイにならないで、という白雪姫の継母のようなメンタルが潜んでいる人なら、少なくともギフトに化粧品は選ばない。美しくなる手段をあげるのは、なんであれ、相手に対する思いやりの表れなのである。
とは言え化粧品を贈るのは、簡単ではない。言うまでもなく、好みもあれば、肌に合う合わないも、似合う似合わないもある。だからギフト選びは全身全霊で相手の身になるべきだからこそ、正しい美の贈りものには嫌でも愛が込もっていくのだ。
化粧品ギフトは別の自分に気づかせてくれる
さらに言うなら化粧品ギフトがもたらす喜びは、あげた時がピークではない。むしろ時間が経つほどに、少しずつ少しずつ育っていく。喜びが膨らんでいく。それが“美を贈る”ということ。
化粧品の買い物は、時に服の買い物よりも多くの幸せを生むとされる。なぜか。化粧品は品物である前に、“効果”を買うものだから。スキンケアなら3日後、1週間後と、効き目を楽しみにし、未来の自分を楽しみにできるから。ギフトでも同じなのだ。どんどん満足度が増していく可能性を孕むものだからこそ、品物を手にした喜びと、喜びが増えていく幸せ、両方を贈ることになるからこそ尊いのである。
そしてまた、化粧品ギフトは言うならば新しい習慣や、一つ上のライフスタイルを丸ごと提供することでもある。新しいスキンケア習慣を贈られたことで心の在り方が全く変わったということだってあるはずだし、たった一本の口紅が、知らなかった新しい自分を引き出して意識を大きく変えてくれることだってあり得るのだ。
そう、自分だったら買わない化粧品を、思いがけなく他者からもらうこと、そこに想像もしなかった発見や気づきがあるからこそ、化粧品ギフトは品物以上の価値があるのだ。
化粧品や美容ツールは、自分と最も近しいもの。もう一人の自分を作っていく、密かな手段と言えるもの。それをギフトされるのは、他者から見た自分を、客観的に知ること。ちょうどプロのアーティストにメイクをしてもらった自分が、まるで別人に見えるように、想像もしなかった別の美をもらうわけで、その分感動が大きいのである。
だから美を贈ろう。そのための正しいギフトをここに集めてみた。キレイにしてあげたい人は、大切な人。その気持ちを相手にそっくり伝えてくれる、最も愛が込もりやすい美の贈りものを。
齋藤 薫(さいとう・かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌で多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。CREAには1989年の創刊以来、常に寄稿している。
齋藤 薫「美を贈る」
2023.12.11(月)
文=齋藤薫
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