大阪市此花区のベーカリー「ププププティタプティ」をご紹介したのは、2018年。その後、なかなかお店に伺えないままだったのですが、昨年「12月8日に大阪市北区天神橋に移転リニューアルオープン」とのお知らせをもらいました。それには、さらに、料理人を迎えて「ベイカリー&キッチン」へと変わるともあったので、移転の忙しさから落ち着いた頃を見計らって訪ねてみました。
大阪メトロの南森町駅、JR東西線大阪天満宮駅から南に歩くこと約5、6分。日本一長いと言われる天神橋筋商店街のアーケードの南端から東へ向かってすぐ。道路から少し奥まったところにあるガラスに描かれたユニークなマークに目が留まります。フランス語で “一歩ずつ、少しずつ、自分のペースで” という言葉に、プププという笑い声を加えた「ププププティタプティ」。ベイカリー&キッチンとなった店内に入ると、以前のお店と同じ、女性スタッフの明るい挨拶と香ばしいパンを焼く香りで、イッキに元気になれます。
扉を入って左側に、バゲットやコンプレなどハード系のパンが、正面のキッチンカウンター前に、タルティーヌやデニッシュ、カレーパンなどの多彩なパンが並んでいます。焼き菓子やジャムはレジ横に。
まずは、オススメのパンを紹介しましょう。
「自家製ベシャメル、チーズと旬素材のタルティーヌ」は、それぞれの野菜のおいしさが際立ちます。伺った時は、紫カリフラワー、ロマネスコにチョリソーのトッピング。ベシャメルソースの優しい味わいにほっこり。
「季節の焼きフルーツデニッシュ」は、上品なカスタードクリームといちごの春らしい組み合わせ。ふんわり生地で食べやすく、ティータイムにぴったりです。
以前からの人気商品「自家製カレーの焼きカレーパン」は、ピリリ辛口でスパイシー。さっくり生地でクセになる味わい。
「焼きそばパン」は、オリジナルブレンドの特製ソースを絡めた焼きそばを全粒粉を使ったパンにサンド。ボリュームもあり、トッピングの海苔がご愛嬌。大阪のパン屋らしい一品。
「スウェーデン直伝レシピのシナモンロール」は、生地を層にしているため食感が軽く、口の中でシナモンがふんわり香ります。生地にカルダモンが入っているのがポイント。
見るからにおいしそうなハード系のパンもご紹介します。
「ホクシンのバゲット」は、むっちり食感。噛むほどに香ばしさが広がります。
「コンプレ」は、小麦の風味と酸味のバランスが抜群。さっくり、心地よい歯触り。
「日替わり素材 気まぐれカンパーニュ イチジク」は、国産ライ麦を使用。イチジクを加えてあり、とても食べやすい。
「ベーコンエピ」は、沖縄の食品メーカー、オキハムのベーコンとオーバーナイト発酵させた生地を使っており、カリカリとした歯応えがたまりません。
他にも、菊菜とチーズを練り込んだ「季節のフランスパン」など、気になるパンがいろいろありました。
パンを作るのは、以前と変わらず、子供の頃からパン屋になると決めて、様々な経験を積んだ正本誠子さん。(結婚して、古川から正本姓に)。
「前のお店では、年配の方や子供さんが多かったので、食べやすいパンを多く作ってきました。リニューアルしてからは、夜の営業も始めたので、お料理に合わせて食べてもらえるパンにも力を入れています」と正本さん。
こだわりの一つが小麦粉。全てが国産小麦粉で、食パンにもクロワッサンにも、全粒粉を使用。正本さんが、今、気に入っているのが北海道産の「ホクシン」。その年に収穫され、収穫直前も収穫後も農薬を使っていないものを仕入れています。「目指すのは、毎日食べられるパン。自分にも子供が生まれるので、子供たちに安心して食べてもらえるパンにしたい。そのためにも、日本の農家に頑張って良い小麦を作り続けてほしいんです」。
2024.03.10(日)
文・撮影=そおだよおこ