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 米マイクロソフトでシニアエンジニアとしてクラウドサービスに携わっている牛尾剛さん。しかし、人生でずっと劣等感に悩み、大人になってからADHDと診断されたという。しかし牛尾さんは、転職によって劣等感を払拭することができ、今も自分なりのメソッドを実行することで、自己肯定感をさらにあげていると話す。そんな牛尾さんが見出したマインドセットを綴った著書『世界一流エンジニアの思考法』も話題だ。牛尾さんに「幸せを感じる働き方」を聞いた。


──日本では若者の労働意欲が低くなっているといわれています。人口が減少し国力も低下しているなか、将来や自分に対する諦めも蔓延しているように感じます。牛尾さんにもそんな時期がありましたか?

 ありましたよ。というか、生まれてから僕にはずっと劣等感しかありませんでした。

 僕は幼少の頃から何をやってもできない“要領の悪い”子どもだったんです。何をするにも人の3倍くらい時間がかかり、大人になってからADHDと診断されました。

 それでも、僕はずっとプログラマに憧れ、どうすれば不得意なことでも効率よく人並みにできるかを意識的に研究し続けてきました。

 ただ、44歳で米マイクロソフトに転職し、現在、本場アメリカで数少ない日本人クラウドエンジニアとして僕が働けているのは、和田秀樹先生の『受験は要領』という書籍に出合えたことも大きかったと思っています。

──精神科医の和田秀樹先生は、多くの生徒を東大や難関大合格に導いてきた「緑鐵受験指導ゼミナール」の創設者ですよね。どんな気づきを得たのでしょうか。

 僕は子どもの頃から1回も「成功」したことがなく、それが半ばトラウマみたいになっていたんです。でも『受験は要領』で「試験で点数を取る」という受験にフォーカスした方法を知り、衝撃を受けました。そして、愚直にその著書に書いてあることを実行したら、それまでの僕の偏差値ではとてもいけなかったような大学に合格でき、大きな自信になりました。

 これが僕の人生で初めての「成功体験」となって、そこから「メソッド」にも興味を持つようになりました。

2024.01.29(月)
文=相澤洋美
撮影=三宅史郎