――自宅の2階を編集室にしたのは、脚本を書きながら編集しなきゃいけないのもあったからでしょうか。

足立 それもあったので、編集の方に「もし可能だったら、うちでやってもらってもいいですか?」と聞いて。

――2022年3月に企画決定、2023年10月に放送開始。脚本の執筆は、まだ続いていると聞いています。1年半以上という時間を掛けていますが、朝ドラの脚本執筆のスケジュールはそういうものなのでしょうか。

足立 たぶん、皆さん1年半とか2年ぐらい前から書き出すのが普通なんじゃないでしょうか。いえ、知らないですけど(笑)。だけど、そこで映画の制作を並行しながらというのは、おそらくいないんじゃないかと思うんですけど。いえ、これも知らないですけど(笑)。

――普通だったら、朝ドラに全振り、もしくはそれに近い体制で臨みますよね。

足立 当然ですよ。おかげで、本気で死ぬんじゃないかなって思いましたもん(笑)。

 

「どんな生活をしていたか、ちょっと思い出せない」忙しさ

――その頃の足立さん自身のスケジュールを教えてください。

足立 編集だけじゃなく、音楽の打ち合わせやダビングの作業もあって、とにかく頭の中は映画のことでいっぱいだし、殺人的な忙しさだったんですよ。それもあってか、当時の記憶がほとんどないんですよね。どんな生活をしていたか、ちょっと思い出せない。その他にこまごました仕事もあるし、うちは家事育児は僕にしろ妻にしろどんなに忙しくても分担だし。分担なんて言い方もできないですよ。それが当たり前すぎて。

 当時、上の子は中3、下の子は小5で、下の子が『ブギウギ』の六郎みたいにわりとフリーダムな子なんですよ(笑)。学校に行かないこともあるし、休んだら僕の真横で延々と『バイオハザード』の話をしてたり。で、学校に行かないときはたいてい一緒に映画を観に行くし。

――正直、泣きが入りませんでした?

足立 入りました。泣きどころか、夫婦仲も超ギスギスしちゃって。

2023.12.14(木)
文=平田裕介