もうひとつ大書しておきたいのは、例えば六〇歳を過ぎて、認知症になってから治療することは不可能だということなのです。
この病気はなってしまうと絶対に治らない点が特徴なのです。認知症にならないためには予防しか治療方法はありません。つまり、普通の病気のようになってから治療して治すのではなく、ならないように予防することが唯一の治療なのです。
その予防治療についてはすでに自著の『アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)という本で詳しく書きました。
詳細は第8章で述べますが、簡単に言っておきますと、脳のMRI画像を使って海馬の萎縮を正確に調べるVSRADという検査を定期的に行う。そしてわずかでも海馬の萎縮が進行してきたら、イチョウ葉エキスという健康食品の摂取を開始する。その量や製品の種類も重要です。
◎認知症は不適切な食事が原因で起こる
このように検査して、脳の変化を早期に見つけて予防治療するのも大事ですが、最も大切なのは適切な食事をして脳の萎縮を進めないことです。
なぜなら、認知症は不適切な食事が原因で起こる病気だからです。
ですから、この病気の予防にとっては、食べることが非常に重要になってきます。
フランスの美食批評家・ブリア=サヴァランは、「あなたが普段食べているものを言ってみたまえ。あなたがどんな人か言ってみせよう」と言いました。
それに倣って私が格言風に言うならば(ちょっとエラそうになりますが)、「あなたが普段食べているものを言ってください。あなたがどんな病気にかかりそうか言ってみせます」となるでしょう。
認知症は糖尿病という病気に非常に似ています。糖尿病も一度なったら絶対に治らない病気です。どんなに食事に気をつけて運動して薬を飲んでも、絶対に治りません。
実は、認知症と同じで、糖尿病も二〇年前からその兆候は始まっているのです。つまり、糖尿病を避ける食事をしなかったツケは、なんと二〇年後に糖尿病として出てくるのです。
2023.11.16(木)