誰かのために手を合わせよう
京都の寺社仏閣では時おりスマホで撮影だけして帰る方がおられます。私は「淋しいなぁ」と感じるんです。また、「どけよ!」など大声で汚い言葉を発している方もいます。境内はおごそかな参拝の場所です。気遣いがないふるまいは周囲の人たちの気分を悪くしますし、何より仏様がその態度をよくは思わないでしょう。
そして手を合わせるときは、私欲を捨てることが大切です。親、友人、愛する人、地域、国など誰かの幸せを願って合掌する。そうやって人々の福運を祈願すると、いつかあなたにも功徳が巡ってきます。
参拝する際は、自分の地元の銘菓や名物をお供えするとよいでしょう。京都を旅するとき、「あのお寺へお参りに行こう」と心に決め、仏様へのお供え物を探す。その気持ちがすでに参拝の始まりなんです。京都は観光地ではありますが、仏様や神様とともに暮らす街でもあります。感謝と配慮の気持ちをもって訪れてほしい。そうすれば、やがてあなたの運も開けるでしょう。
三木大雲(みき・だいうん)さん
1972年京都市生まれ。2005年、蓮久寺の第38代住職となる。実際にあった相談に基づく怪奇現象、自身の恐怖体験などを切り口に仏の教えをわかりやすく説く「怪談説法」を確立した。最新刊は『怪談和尚の京都怪奇譚 妖幻の間篇』(文春文庫)。
『怪談和尚の京都怪奇譚 妖幻の間篇』
定価 759円(税込)
文藝春秋
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2023.11.18(土)
文=吉村智樹
写真=志水 隆