私は京都の「蓮久(れんきゅう)寺」の住職です。

 日本最古の花街「島原」に近い場所にあり、才色兼備と謳われた遊女・吉野太夫が寄進した赤い山門が目印です。

 仏教の教義を説く際に怪談を織り交ぜることから、いつしか「怪談和尚」と呼ばれるようになりました。怪談を語り始めたのは約20年前。暴走族の非行を止めるために法話をお話ししたのですが、彼らは聞く耳を持たない。そこで試しに怪談を語ったら、身を乗り出して聞き入ってくれた。そのとき、怪談が人を惹きつける力に気づいたのです。

 私の元には日々、さまざまな恐怖の体験談が集まります。そしてご相談者様の許可を得て、説法にすることで供養しているのです。決して恐がらせるのが目的ではなく、そこから仏教に興味を持っていただきたいのです。

1億5千万円の宝くじ当選

 京都で訪れていただきたい場所、先ずは「妙顯(みょうけん)寺」です。私が京都へ戻ったとき、「妙顯寺のお手伝いをしなければならない」という気持ちが芽生え、門を叩きました。夜間拝観の企画を立てるなど、心を尽くした。

 そんななか、老朽化した蓮久寺の建て直しを仏様に祈願したところ、夢に大黒様が出てきてくださり、そして2019年、「初夢宝くじ」で1億5千万円が当選しました。「仏様に懸命に仕えたことが、仏法の守護神に通じたのだ」と胸が熱くなりました。

2023.11.18(土)
文=吉村智樹
写真=志水 隆

CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

永久保存版 偏愛の京都

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