『SMAP×SMAP』でコントやお笑いをやって集大成になった“名作映画”
――稲垣さんは2017年まで出演したバラエティ番組『SmaSTATION!!』で、映画を批評する「月イチゴロー」というコーナーを担当していましたが、実はそこで『笑の大学』についてもみずから話していたんです。「ここまで褒められたのは芸能界に入って初めて」というくらい褒められた、と。
稲垣 『笑の大学』のことですか? そんなことを言ったなんてまったく記憶にないです。最近は『十三人の刺客』のことばかり言われるから、いつの間にか記憶が上塗りされたのかも(笑)。
――でも『笑の大学』では、それほどまで評価されたわけですよね。
稲垣 やっぱり三谷幸喜さんの脚本が素晴らしかったし、星護監督とは『世にも奇妙な物語』シリーズや『ソムリエ』、金田一耕助シリーズといったテレビドラマでもご一緒しましたけど、星ワールドと言われるその世界観と作品がマッチしていましたよね。
僕に関しては、いろいろなものに翻弄されて振り回されていく役が、コメディ作品に限らず多かったんです。いまでこそ舞台『No.9-不滅の旋律-』のベートーヴェン役とか、周囲を巻き込んでいく役もけっこうありますよ。でも当時は巻き込まれる役のひとつの集大成みたいな感覚がありました。
20代前半のころから、主に『SMAP×SMAP』でコントやお笑いみたいなことをやってきて、笑いの間とかセンスとか、そういったものを学んできた集大成でもありましたね。集大成というと大げさですけど、でも20代で学んできたものを、30代に入ってすぐに発揮できた実感があったんです。『SMAP×SMAP』のようなバラエティ番組をやっていなければ、ああいうコメディ映画はできなかったと思う。その蓄積が大きかったはずです。
「『世界に一つだけの花』を出したころグループの仕事が忙しくなって…」
――ところが『笑の大学』から『十三人の刺客』が公開された2010年まで、映画の仕事には約6年間のブランクが生まれます。
2023.11.04(土)
文=門間雄介
撮影=榎本麻美/文藝春秋
メイク=金田順子
スタイリング=黒澤彰乃