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自分の顔とどう付き合うかは、娘さんが自分で決めるしかない

 自分の顔とどう付き合っていくかについては、娘さんが自分で考えて決めていくしかない。娘さんの一時的なうらみごとを、親が真に受ける必要はないんです。親と子が別の人格であるとは、そういうことなのです。

 本人がどうしても嫌なら、整形したっていいと思うんですよね。ただ、最終的なその決断に至る前に、一重まぶたが嫌ならアイプチをしてみるとか、鼻を高く見せるようなメイクを工夫してみるとか、試せることはいくつかあります。お母さんが、人生の先輩として娘さんに伝えられるのは、そういった工夫やアドバイスなのかなと思います。

 子どもたちは家庭の中だけでなく、学校をはじめとする社会に属していますから、100パーセント本人の望みをかなえられるとは限りません。校則で禁止されていることもあるでしょうし、医療行為にはリスクもともないます。そんなときに、「じゃあどうする?」と相談できる相手が親だとしたら、子どもにとってこんなに心強いことはないと思います。

 思春期には、誰かのひと言で深く傷つくことがある一方、誰かのひと言で自分を好きになる瞬間も訪れます。そうやって成長していく過程を、一番の応援団として適切な距離感で見守っていく。そんなふうに考えてはどうでしょうか。

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娘と話す、からだ・こころ・性のこと

定価 1,760円(税込)
朝日新聞出版
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2023.10.12(木)
文=高尾美穂
構成=長瀬千雅
撮影=東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)