この記事の連載

 オーディション・プロジェクト「ミスiD」の第7代目グランプリに選ばれた中井友望さん。

 抜群の透明感と誰にも似ていない唯一無二の存在感を放ち、2020年からスタートした俳優業では着実にステップアップを遂げている。

 2023年10月14日(土)には、初の主演映画『サーチライト-遊星散歩-』が公開。中井さん演じる女子高生・内田果歩が、若年性認知症の母との生活を守るため、客の男と散歩をしてお金を稼ぐ“JK散歩”の世界に足を踏み入れていく姿を描く。わずかな希望にすがる果歩の葛藤、所在なさげな息遣いが、静かな物語に憂いを与え胸を震わす。

 主人公の果歩に寄り添い、ナチュラルな演技で観客に訴えかけてくれた中井さんに、CREA WEBでは前後篇でインタビューを実施。前篇では、初主演映画でも気負うことなくまっとうすることができたという、彼女の芯の強さに迫った。

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得体のしれない自信があった

――『サーチライト-遊星散歩-』で、中井さんは主人公の内田果歩を演じています。苦しい状況の中、どうにか生きていこうとする果歩ですが、共感するところは多かったですか?

 はい。脚本の小野(周子)さんが、私に果歩を当て書きで書いてくださったんです。それが大きくて、共感する部分がかなり多かったです。テーマにしている問題は少し重いところもあるんですが、最初に読んだときから「ああ、すごくやりたい。私、やれるな」という得体のしれない自信みたいなものがありました。

――当て書きということは「自分はこういう感じで見られているのね……!」というような発見もありましたか?

 抱えているものがあったりするイメージは、何となく「そうなのかもしれないな」と自負している部分がありました。あえて比べてみるなら……私にとっては「青春! ザ・主人公!」というようなキャラクターよりも、果歩のような役のほうが演じやすいんです。感覚的に近いものを持っていますし、私にとっては表現するのにすごく合う役だったので、うれしかったです。もちろん「青春!」みたいなキャラクターも挑戦してみたい気持ち、あります。そちらのほうが難しそうだなと思っちゃいます。

2023.10.03(火)
文=赤山恭子
写真=榎本麻美
ヘアメイク=SHIO
スタイリング=粟野多美子