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素材の鮮度と旨みが引き立つ自家製調味料と保存食

 開けっぴろげな食卓は、遠足気分も手伝って開放感が半端ない。みんな笑顔。

 今日のコースは、大根の芥子(からし)オイル和えから始まる。綾部の農家が作る純国産の和芥子のオイルは旨み強し。パクチーは摘みたて。パワフルな香りと赤ちゃんの肌みたいなやわらかさ。やはり摘みたてに勝るものはないな。

 続いて、自家製極太メンマ。家の前の竹やぶで2〜3メートルに伸びた“ほぼ竹”から作る。

「アスパラみたいにポキッと折れるところがあるんです。そこから上の部分を使います」

 米のとぎ汁に5日ぐらい漬けて発酵させ、天日干しにしてから蒸し、調味して保存。それを温め直したものである。上にチチチッと散らしてあるのは山椒の葉。作り方は大胆だが味は繊細だ。

 薄皮ごと食べられる小さな空豆は、唐辛子や山椒、にんにくで炒めてから、水、醤油、自家製ナムプラーで蒸し煮にしてある。豆が甘くてバクバク食べる。

 上林(かんばやし)川でとれたすっぽんは、自家製豆豉(トウチ)で蓮の葉蒸しに。豆豉は大豆から納豆を作り、天日干しにしてからラー油に漬け込んだものだ。ワインが進む。あ、ナチュラルワインもビールも、ドリンク系も充実しているのでご安心を。

 雨をよけながら、飲んだり食べたりして思う。のどかだけど、軽くはない。おいしいけど、それだけでもない。改めて、命をいただいている尊さを思い知る。なぁんて思ってたのは途中まで(すみません)。酔いが回れば、アハハ、アハハで夜が更けるのであった。

【綾部】田舎の大鵬

所在地 京都府綾部市八津合町別当2-1
電話番号 非公開
営業時間 相談
定休日 不定休
Instagram @inakanotaihou
●完全予約制、1日1組限定。
コース11,000円
※カード不可

●教えてくれたのは……

渡辺 P 紀子(わたなべ ぴぃ みちこ)さん
食のライター

ライター歴うん十年。プライベートでも仕事でもたびたび京都を訪れ、お決まりもありつつ、新規開拓にも余念がない。今回はお弁当のページも担当。取材中の京都駅では売り切れ必至、赤福の新作「白餅黑餅」も入手してほくほく。

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京都の中華

2023.09.23(土)
文=渡辺 P 紀子
写真=ハリー中西

CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

永久保存版 偏愛の京都

CREA 2023年秋号

永久保存版 偏愛の京都

定価950円

『CREA』でいよいよリアルな国内旅の真打「京都」登場。グルメ、アート、カルチャーなどを偏愛目線でお届けします!