「屋根のない美術館」と呼ばれるフィレンツェには、中世のままの美しい街並みが残る。
レストランやショップは、伝統を大切にしつつ、進取の精神を忘れることはない。今こそフィレンツェへ。この街は、いつだって「今」が一番面白い!
時代を経ても決して色あせることのない、普遍的な美しさは存在するのだろうか? 古都フィレンツェは、その疑問に対する確固たる答えを与えてくれる。フィレンツェで今注目の4つの宮殿や大聖堂を4回に渡りご紹介。
天井画を間近で目にするまたとない機会が到来
◆Battistero di San Giovanni(サン・ジョヴァンニ洗礼堂)

ドゥオーモの前にたたずむこの洗礼堂は、14世紀に現在の形が整ったロマネスク建築。八角錐のクーポラが特徴であり、その内側に当たる天井に描かれたビザンティン風のモザイク画もまた名高い。

2023年の初め、この装飾の修復作業がスタートした。ゆえに、安全対策として覆いがかかっており、頭上を仰いでも、その全貌を確かめることはできない。工期は、今後5年に及ぶという。

しかし、落胆しないでいただきたい。実は、一見不利な現状を逆手に取った企画が用意されているのだ。それは、作業用の足場を伝って高所へと登り、モザイクを鑑賞するという見学ツアー(ガイドはイタリア語または英語)。

普段は遠くから見上げることしかできなかったモザイク画を、至近距離でしげしげと眺めることができるのだから、これはまたとない機会。繊細を極めた美しさに、心打たれることだろう。
Battistero di San Giovanni(サン・ジョヴァンニ洗礼堂)
所在地 Piazza San Giovanni, 50122 Firenze
電話番号 055 2302885
営業時間 8:30~19:30(第1日曜は8:30~13:30)
休館日 1月1日、イースター、12月25日など
料金 15ユーロ(洗礼堂、ドゥオーモ付属美術館、ドゥオーモ地下の共通券)
※天井画修復見学ツアー 65ユーロ(要予約)
https://duomo.firenze.it/en/discover/baptistry

Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.08.30(水)
文=下井草 秀
撮影=橋本 篤
CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。