ガイドと共に白煙を吐く硫黄岳へ
7月の炎天下、ヘルメットとガスマスクを装着し、登山をスタート。草むらを歩き始めると、足下に生えていたシダ植物のミズスギが目に留まりました。
![ミズスギ。硫黄島では“チグサ”と呼ばれ、秋のお祭り前にここへ採りにくるそうです。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/3/1280wm/img_83e7f33826894a8dd8aa7138f70558e6238957.jpg)
このミズスギは八朔(はっさく)太鼓踊りという祭りの時に現れる仮面神メンドンのアタマに挿す飾りだそう。このメンドンの見た目のインパクトはそんじょそこらのゆるキャラの比じゃありません。メンドンもいつの日か見てみたい。
![こちらが神様のメンドン。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/1280wm/img_366b836dc1584656b0e413657fc8eb78315135.jpg)
それはさておき、噴気孔までの道を棚次さんの後ろについて上がっていきます。
途中、地層が露になっているところで棚次さんが黒い層を指しました。これは7,300年前の大噴火の際、草木が蒸し焼きになってできたもので、その上に噴石が降り積もって地層を形成したのだそう。何千年も前に起きたことが地中にタイムカプセルのように閉じ込められ、時を経て今見ていると思うと不思議な感じがします。
![7,300年前のできごとに触れることもできます。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/0/1280wm/img_50874dc0af961cb11ac203b20a36ab25174985.jpg)
噴気孔のまわりには硫黄成分のせいか、どこかケミカルな蛍光グリーン色を放つ、鍾乳石のような岩塊の景色が広がっていました。棚次さんが足下の石を手に取り、軽く力を入れるとぱっくり3つに割れました。熱によって変化したのでしょうか。
![粉っぽい蛍光グリーン色の岩から煙が上がっています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/1280wm/img_dc27a776a42b52c15f7ced33b284b944260621.jpg)
![石も手で割れます。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/9/1280wm/img_79f7948d5789fa94e75ef302b6a95e7e116302.jpg)
あちこちから煙が昇り、足裏も少し熱い感じ。風上にいるので、硫黄臭はそれほど気になりませんが、日によっては強烈な臭いの時もあるそう。目の前に広がる草木のない、白と蛍光グリーンの城塞のような光景にしばし見入ってしまいました。
今回、フェリーみしまのスケジュールは3泊4日でしたが、週末などは1泊2日のことも。長期の休暇がなくても、この非日常が体験できるのです。
![島内には大名竹が繁茂し、こんなトンネルも。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/1280wm/img_82c86f74976ad1fc0efbb249cde5267c224873.jpg)
薩摩硫黄島(三島村、鹿児島県)
●アクセス 鹿児島港からフェリーみしまに乗り、約4時間。東京からは朝9:30出港なので、前日泊が必要。
●おすすめステイ先 イオキャラバンパーク(素泊り)
https://io-caravan-park.site/
【取材協力】
株式会社いおう
三島村観光協会 http://mishimamura.com/gaiyoukankou/
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
Column
古関千恵子の世界極楽ビーチ百景
一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!
2023.08.12(土)
文・撮影=古関千恵子