SNSで声を上げやすいため、友人や知り合いがそのような問題の当事者だと認識できるようになったことも大きいかもしれない。SNSでは「いいね」やシェアによって応援が可視化され、発信者の自己肯定感(存在意義や価値)の高まりにつながる。個々がそれぞれ己の幸せを追求する「ウェルビーイングな社会」をあるべき姿だと考える若者は多い。だからこそ、ウェルビーイングを目指している人たちを茶化してはいけない、馬鹿にしてはいけない、排除してはいけない、という空気感が完成している。

 

コロナ禍に“社会貢献に繋がる消費”への意識が強まった

 そして、新型コロナウイルス感染症の流行という事態が起こった。移動や人との交流が制限され、学生は在宅で授業を受ける日々が続いたが、その間に生きること、そして自身の振る舞いと向き合うことができた人は多いのではないだろうか。

 医療従事者などのエッセンシャルワーカーの苦労を見聞きする機会が多かった一方で、物品の買い占めやマスク着用を巡る分断など人間の負の側面が露呈した。未曽有の事態を生きていくためには皆が共闘する必要があるという意識を強く感じた若者もいたのではないだろうか。そのなかで、自身の振る舞いを見つめなおすと、次の通り、その起点には「消費」があることに気がつく。

 身の回りに、無駄なモノ、使い捨てのモノ、一度しか使っていないモノがあふれている。

 →熟考して買っていなかった。

 →本当はいらないモノだった。

 この気付きにより改めて自身の消費行動を見直し、ウェルビーイングを追求するための共闘として「社会貢献につながるような消費をしたい」という意識がコロナ禍を通して強くなったのではないかと、筆者は考える。

「預貯金0円が17%」持ち家、車、高級ブランド…若者の“消費離れ”が起きている本当の理由とは へ続く

2023.07.24(月)
文=廣瀨 涼