「スノボー」「カラオケ」「アムラー」そして「タピオカ」……いつの時代も流行の中心にいるのは若者である。

 欧米で生まれた「Z世代」という言葉が昨今日本でもよく使われるようになった。「Z世代」とは、1996年~2012年の間に生まれた若者を指す言葉で、年齢で言えば現在11歳~27歳の世代に当たる。

 ここでは、若者の消費文化を追ってきた廣瀬涼氏が、Z世代ならではの価値観や行動を深掘りして徹底解説した『あの新入社員はなぜ歓迎会に参加しないのか: Z世代を読み解く』より一部を抜粋して紹介。Z世代が今、消費行動の軸にしている価値観とは——。(全2回の1回目/後編を読む)

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Z世代は「買い物で社会貢献したい」

 2022年元旦の日経MJの1面に「Zが消費を変えていく」との大きな見出しが躍っていた。日経MJが16~26歳約5000人に行ったアンケート調査によると、およそ3割が、価格が高くなったり、不自由になったりしても、自分の消費行動、つまり買い物で社会貢献したい、と考えているという。

「買い物で社会貢献」というと難しく聞こえるかもしれないが、簡単にいえば、リサイクル商品やエコ商品などの環境に配慮した商品やフェアトレード商品を選ぶ、買い物時にエコバッグを利用するといったことを指す。フェアトレードとは、発展途上国との貿易において、フェアなトレード(公正な取引)をすることにより、生産者の生活を支援することである。

 我々の生活には、「消費」と「廃棄」が密生している。消費結果は我々の通った道であり、ルーティンやスピリットそのものである。何か社会貢献しようとなると、ボランティアなどが思い浮かぶが、生きていることと密着した「消費」において社会や環境に配慮することがサステナブルと認識しているのかもしれない。

 このような若者の社会に貢献したいという心理は「ウェルビーイング」という概念が大きく影響していると筆者は考える。

2023.07.24(月)
文=廣瀨 涼