また、実際にSDGsに関して共感し実行していることに関しては、「商品はなるべく最後まで使い切る」「食べ残しがないように心がける」といった項目が6割を超えているが、それ以上に、「エコバッグを持ち歩く」が56・6%という結果に筆者は驚愕した[図表5−2]。2020年7月より全国でプラスチック製買物袋の有料化が決まり、買い物のたびに袋代を支払うのは無駄な出費なのかもしれないが、それでも大学生の2人に1人がカバンにエコバッグを忍ばせていると考えると、単純に「えらいなぁ……」と感心せざるを得なかった。

 

 こういった「社会貢献をしたい!」という行動は、もちろん買い物以外にもみられる。同調査によれば、SDGsに関して当然しなければならないことだと認識している項目として、72・9%が「LGBTQなど性やジェンダーに配慮する」をあげている[図表5−3]。

若者が「差別的な発言」をしないように気をつけている理由

 SNSにおいて、若者は自ら情報発信したり、共感できる投稿をシェアしたりしているが、差別的な発言とならないように気をつけている者は多い。これには、二面性があると筆者は考えている。

 まず、常にSNSによる炎上リスクを認識しているという環境要因である。SNS社会に身を置く我々は、ある意味、常に監視されているといっても過言ではない。自分の言動が差別的であると認識されてしまった場合、攻撃対象となって社会的制裁を受けることもある。

 そのようなSNSによる炎上事例を反面教師にして、差別的な発言をすることに対するリスクを認識しているわけである(これは、「炎上したくないという動機によって差別発言が抑制されているから、差別をしない」という意味ではないことに留意されたい)。

 次に、世間で多様性と呼ばれているものの多くはこれまで表層化していなかっただけで、意外と自身の周りで起きていると若者は認識している。だから自身が当事者でなくとも、他の人たちの生き方を否定しない。むしろ、権利や差別を訴えている人たちに対して、声を上げていることを評価し、応援したいと感じるようだ。

2023.07.24(月)
文=廣瀨 涼