「え、ここに泊まれるの!?」値段や過ごしやすさだけじゃない…味わい深さがクセになる東日本の“宿泊施設”8選 から続く
変わった観光地やレトロな風景を訪れることを趣味としている私が、東日本のたまらん宿泊施設を紹介した『「え、ここに泊まれるの!?」値段や過ごしやすさだけじゃない…味わい深さがクセになる東日本の“宿泊施設”8選』。
ここからは、引き続き西日本を旅したときに泊まって印象深かったホテル・旅館を紹介していく。
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総工費400億円のバブリーホテル
●ホテル川久(和歌山県西牟婁郡)
白浜の海岸沿いを走っていると、まるで海の上に浮かんでいるかのような城が目に入る。その正体は1991年、バブル絶頂期に誕生したホテル川久だ。
元々は木造純和風の「旅館川久」として1949年に創業したが、40周年を機に1989年、全面建て替えを実施。世界中から超一流の資材と職人をかき集め、総工費400億円をかけ、夢の城「ホテル川久」が完成した。
開業当初は会員制であり、会員権は2000万円から。当然全室スイートルーム。庶民は近づけない、特別な社交界が形成される場所だった。しかし1995年、わずか開業から5年足らずで経営破綻し、その後1998年にカラカミ観光が30億円で買収。おかげで、私たち庶民でも手の届く高級ホテルとなった。
白浜に着きレンタカーを借りると、いざホテル川久へ。目的地に近づくと、古びたスーパーや個人商店が並ぶ細い路地の奥に、周りの景色となじまない巨大な城が姿を見せる。ホテルの中は隅々まで贅を尽くした、まさに“城”。黄金に輝くロビー、繊細で美しいシャンデリア、1本1億円とされる柱、天井や床には様々な意匠が施され、壁際には見たことのない調度品が並んでいる。
ひとりではもてあますスイートルーム、味わったことのない高級料理。覚めることのない夢の時間は、忘れられない思い出となった。
●湯布院フローラルヴィレッジ(大分県由布市)
2023.07.16(日)
文=あさみん