オープンAIは、このほかにもGPT-4を前身のGPT-3.5と比較し、その進化ぶりをアピールする。
ロースクール(法科大学院)進学適性試験(LSAT)では、GPT-3.5が下位40%だったのに対して、GPT-4は上位12%の結果を出した。
高校生向けの大学進学予備プログラムであるAP(アドバンスト・プレイスメント)の試験では、GPT-3.5は最高点の5点が3科目だったのに対して、GPT-4は9科目で5点を獲得した。
また、ソムリエ試験(筆記)にも挑戦。入門ソムリエでは正答率92%(GPT-3.5は80%)、認定ソムリエは86%(同58%)、上級ソムリエでは77%(同46%)の成績だったという。
AIが「人間の受験者の大半をしのぐ」ことは間違いなさそうだ。
「だが、AIに知性はない」
〈オープンAIのチャットGPT、グーグルのバード、マイクロソフトのシドニーは、機械学習の驚異だ。大まかに言えば、膨大な量のデータを取り込み、その中からパターンを探し、統計的にありそうな回答を生成することにどんどん熟達していく――それはまるで、人間の言語や思考のように見える〉
言語学の大家でアリゾナ大学教授、マサチューセッツ工科大学(MIT)名誉教授のノーム・チョムスキー氏らは2023年3月8日付のニューヨーク・タイムズへの寄稿で、こう指摘している。
〈機械学習の核心は、記述と予測だ。(中略)知性とは、創造的な予測力だけでなく、創造的な批判力があってこそ成り立つものだ〉
生成AIには、その知性はない、とチョムスキー氏らは指摘する。
〈(ロボットは)話すこと、書くこと、計算することを学びます。記憶力が大変優れているのです。二十巻の百科事典を読み上げたら、一字一句違わず復唱できます。ですが、新しいことは、自分では創造できません〉
ロッスム社の社長の説明は、ここでも説得力を持つ。
熱狂の先にあるもの
2022年11月末にチャットGPTが公開されてから、ユーザーは5日で100万人、2カ月で1億人に上った。ネットサービスの歴史の中で、最速の成長だという。
子どもから大人まで誰もが、チャットアプリで友人や家族との会話を楽しむように、最先端のAIを使っていくことができる。
人間の膨大な知識を飲み込んだ「人間」のようなAIを使って、人間は何をしようとしているのか?
<はじめに より>
2023.07.13(木)