彩色した「宝の小槌」は中禅寺立木観音でご祈祷を
中禅寺は784年、勝道上人によって建立された天台宗の寺院で、世界遺産「日光山輪王寺」の別院です。 ご本尊の「十一面千手観世音菩薩」(国重要文化財)は、勝道上人が中禅寺湖上に千手観音様をご覧になり、その姿を桂の立木に彫ったと伝えられるもの。そのため「立木観音」とも呼ばれます。
修験道の霊場ならではの厳粛な雰囲気は、いまもそこかしこに残り、自然と背筋が伸びるような感覚。境内から見渡す中禅寺湖や修験道の聖地・男体山、日光白根山の山々を一望できるのも、このお寺の魅力です。
毎年6月18日には観音講大法要が盛大に催され、ご供養の法要の後、諸願成就の大護摩供が執り行われます。
「宝の小槌」の特別祈祷は、不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王の五大明王が安置された御祈祷の道場「五大堂」で行われます。僧侶が唱えるお経の響き、燃え立つ護摩木の香りに、心身が浄化されていくような濃密な時間。
ご祈祷を受けた「宝の小槌」を自宅に持ち帰った後も、1年間毎日、体験者の名前が中禅寺で読み上げられます。仏様とのご縁を感じながら過ごす日常は、これまでとは少し違うものになるかも知れません。
2023.06.03(土)
文=伊藤由起
撮影=鈴木七絵