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北欧のひとたちがご機嫌に料理を続ける方法

 毎日の料理をなんとか乗り切るため、北欧の多くの家庭では、1週間分の献立をまとめて考えています。献立に悩まないように、月曜日はパスタの日、火曜日はお肉の日、水曜日は魚の日などと、ざっくりとメニューを決めている家庭も多いそう。

 デンマーク・コペンハーゲン在住のペルニッレさんは毎週日曜日の夜に、1週間分のメニューを考えて、ネットスーパーでオーダーしています。頼んだものは月曜日に自宅に届くようになっているそう。平日はピザ、トマトパスタ、タコス、魚とじゃがいも、ほうれん草のパンケーキなど、10食分の定番メニューを自分で決めていて、同じメニューをとにかくリピートしているのだとか。

 「平日は忙しいから30分もあればつくれる料理がほとんど。定番メニューが10食あると、献立を考えるのもラクだし、毎日ローテーションすればちがうものが食卓に並ぶしね」とペルニッレさん。忙しい毎日の中、料理が効率よくできるように、北欧のひとたちもいろいろと工夫しているようです。

 料理は簡単なものでいい。無理をしなくていい。

 今ではわたしも心からそう思うようになりました。子どもが生まれて忙しくなってからは、頭で呪文のように唱えています。

 褒められたことじゃありませんが、みそ汁とごはんと買ってきたお惣菜だけの日があったり、テイクアウトのピザですませたり。同じメニューばかり食卓に並ぶなんていう日もよくあります。それでも、夫は何も文句を言いませんし、子どももパクパク食べてくれます。

 ところが、「これでいい」と思いながらも、そんな生活を続けているうちに、料理をすること自体楽しくなくなってしまったのです。

 しばらく料理スランプが続いていたある日のこと。本屋さんで、あるレシピ本に目がとまりました。あ、この料理つくってみたいかも……。自然とそう思えたら、料理が楽しいという気持ちがむくむくと戻ってきたのです。あたりまえでしょうと言われてしまいそうですが、気を抜きすぎるのもよくなく、何ごとにもバランスが必要なんだと気づかされたできごとでした。

 ちなみに、ここまで北欧の料理のお気楽さを書いてきましたが、休みの日にはベイキングをしたり、時間のかかる煮込み料理に挑戦したりするのも、北欧のひとたちの定番の休日の過ごし方。夫婦そろって食べることが好きだというペルニッレさんも、土日は生地からこねてパンを焼くのが楽しみなのだとか。

 料理は毎日のことだから、「無理をしないこと」と「楽しむこと」の両方が必要なんだなと思います。3食自炊が基本な北欧のひとたちは、料理をご機嫌に続けるコツをよく知っているようです。

桒原さやか(くわばら・さやか)

ライター・エッセイスト。「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年働く。スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイストといっしょにノルウェー・トロムソに移住。1年半の滞在後、帰国し、現在は長野県松本市に在住。
Instagram @kuwabarasayaka

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