そばは冷しでも、もりでも対応してくれる。すると注文と同時に天ぷらを揚げ始めた。そしてその様子を見ていた別のスタッフが生そばを茹で始めた。なかなかの連係プレーだ。
完成するまでの間に開店の経緯などを赤松店長に訊いてみたのだが、これがなかなか面白い。
社内食堂があった場所
「あかまつ」は今年4月3日にオープンした。運営は同じ場所に本拠を置く建築業を営む有限会社並木組。「あかまつ」のある場所は社内食堂だったとか。それが閉鎖されたままになっていたのだが、社長の提案で「もったいないから飲食店をやろう」ということになったという。それが昨年末頃だったとか。
「何をやろうかということになって、ラーメン屋とそば屋が最終候補になったんですが、この辺りにはそば屋がほとんどないので、そば屋に決定した」という。そして、立ち食いそばが好きだった赤松さんが自動的に店長に任命されたというわけである。
さらに店名はどうするかということになったところ、社長の「検討する時間もないし、どうせ考えても似たような名前になってしまうので、店長の赤松君の名字でいっちゃおうよ」という鶴の一声で「あかまつ」に即決定。
そばはすべて独学
それと同時に赤松店長は周辺の立ち食いそば屋すべてに食べに行って、味の方向性を考えていったという。つまり修業先などは特になく、すべて独学というから面白い。
厨房には店長の他に、同じ並木組のメンバーや調理の上手な社員の家族スタッフなどが参加していて、天ぷら揚げや麺茹でを分担している。
かき揚げが出来上がる頃、それに合わせてそばが茹で上がり水でさらして再度あたため丼に入れ、かけつゆをそっと注ぎねぎと鰹節をのせる。同時にご飯に丼つゆをかけてかき揚げをさっとのせてミニ天丼がそろう。完成まで4~5分。流れるような所作に感心する。
ミニじゃないアツアツの天丼が登場!
受け取り口に行き完成したその姿をみて驚いた。ミニではまったくない天丼になっている。丼にフタをしてしまうくらいの大きさである。しかも厚さは4~5センチ。しかもアツアツである。
2023.05.14(日)
文=坂崎仁紀