横浜の大衆そば屋は今激動の時を迎えている。JR桜木町駅前の「川村屋」が3月末でその123年の歴史に幕を下すという。残念なことである。かたや、新店が幾つかオープンしている。東急東横線白楽駅近くの「立ち食いそば うどん 心」が2022年12月12日にオープン。
そして東急東横線反町駅近くにも、昼だけ営業する手打ちそば屋「立ち食いそば しおや」が2023年1月30日にオープンした。さっそく2月末の平日の口開けに訪問してみることにした。
夜はお洒落なビストロ「キッチンばるきど」が営業
反町駅改札を出て、目の前の国道1号線を東神奈川(右)方向に進み、すぐの反町交差点を右折して50メートルくらい歩いた左手に「立ち食いそば しおや」はある。鰻の「菊家」の手前といった方がわかりやすいかもしれない。
11時過ぎにお店に到着するとまだ暖簾が出ていなかったので、扉越しに中を覗くと、女性がそば切りしている最中だった。たしかに手打ちのそばを出しているようだ。ほどなく女性の方と目が合い、こちらが会釈すると「もうすぐオープンできますから、中でお待ちください。さあどうぞ」と中へ招いてくれた。その女性が店主の熊澤さんだった。
店内は広くモダンなイメージ。夜はお洒落なビストロ「キッチンばるきど」が営業している。そのオーナーの三芳綾さんが、吉野家が展開する株式会社シェアレストランに貸し出しを依頼。代表取締役社長の武重準さんが仲介する形で、1階部分を昼間だけ借りることになったというわけである。
「立ち食いそば」と謳っているが…
店に入ると大きなこね鉢が置いてある。先程までこれでそばを打っていたわけである。期待が膨らむ。バーの躯体に白いそばのメニュー札が並んで貼られていて、なんとなく異次元な感じがする。微妙に均等に並んでいないのがすごく楽しい。「立ち食いそば屋」と謳っているが、お洒落な椅子がゆったりと並ぶ。決して立ち食いではない。謎的要素もあってなかなかよい。
2023.03.27(月)
文=坂崎仁紀