「ほめられないとやる気が出ない」という時代の空気…中間管理職が知っておきたい部下のモチベーションを高める“言葉遣いのテクニック” から続く

 人との接し方がデリケートになり、人間関係に起因する問題やトラブルが増える現代。コミュニケーション論の専門家である齋藤孝氏は、相手は自分にとってどういう存在かを意識し、ほめる語彙を増やすことで人と接することで互いに良好な関係性を築けると提唱している。

 しかし、具体的にどのような言葉で相手をほめればよいのだろう。ここでは、同氏の著書『上手にほめる技術』(角川新書)の一部を抜粋。すぐに使える便利なほめ言葉を紹介していく。(全2回の2回目/前編を読む)

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総合的な判断力がある

 特に取り上げてほめるべきストロングポイントがなく、自信を持っていない人に対しては、「総合的な判断力がある」と言ってみてはいかがでしょうか。人には向き不向きがありますが、自信がない人ほど、トータルに見てほめどころを探すのが近道です。

 逆に全体としてはほめにくいが部分的に光るものがあるタイプの人には、ストロングポイントに絞ってほめるのもよいでしょう。

 ほめどころが色々ある場合は、一つ優れた長所を取り上げ、それを優先順位的に高い能力として価値付けをします。「あなたは慕われていますね」というのは、人をほめる時には相当高い価値を持つ言葉です。多少欠点があったとしても、その長所が、光となって闇を照らすのです。

センスがいい

「筋がいい」とともに、たいへん使い勝手の良いほめ言葉です。文章や読解といった学習でも、ファッションや芸術など趣味の面でも、ビジネスの場であっても、「センスがいい」と言われるのは、嬉しいものです。中学時代の私は、コーチから「テニスセンスがあるね」と言われただけで、やる気が湧きました。名詞にセンスを付け「読解センスがあるね」「音楽センスがいいね」というほめ言葉は、万能です。

2023.05.13(土)
文=齋藤 孝