守備力がある、安心して任せられる、というのは、とても大きなほめポイントです。

 私の職場にも、その人に見せるのが最終審査ともいうべき事務方がいて、いつもミスをチェックしてくれます。「鉄壁のディフェンス力ですね」と、私たちはほめています。スポーツの比喩も伝わりやすいですね。

 性格上、攻めの姿勢が得意で、リスクを冒しても前に進むフォワード体質の人には、「アグレッシブですね」と評価しましょう。

ほめる際に自然な流れをつくるには

 人間関係は、承認プラスリクエストがよく、否定しながらリクエストをするのでは、誰に対しても受けがよくありません。

 現代の日本社会で問題だと思うことの一つに、「一定以上の年齢の人をほめない」という傾向があります。中堅以上の人、年配の人を直接ほめるのは失礼、或いはもう十分なキャリアがあるので当人をほめる必要はない、と思われているのでしょうか。

 このため、仕事のできるベテランほどほめられない、という流れができてしまっているように感じます。責任者でも上司でも中間管理職でも、ほめることの効用は立場や年齢にかかわりません。ほめられずにリクエストばかりでは、メンタルにダメージが出かねません。

 よい仕事をしたと感じたら、即座に、具体的な箇所を取り上げてほめるのがよいでしょう。ほめる際には、「あ、」と一呼吸入れると、「そういえば」と気づいた感じで自然な流れをつくることができます。

2023.05.13(土)
文=齋藤 孝