吸水ライナー、吸水ナプキン、吸水ショーツなどなど、近頃、よく見聞きするようになった「吸水」というキーワード。テレビCMでも目にすることが増え、生理用ナプキンの売り場をじっくり眺めてみると、吸水ライナーや吸水ナプキンが種類も豊富に並んでいる。
これらの「吸水」パッド類は、主に尿もれ対策としてショーツに貼り付けて使用するもの。商品ラインナップが増えているということは、尿もれ対策が必要な人が増えているということ……?と思いそうになるが、尿もれの症状がある人の数自体は増えているわけではなく、10年以上にわたって横ばいの状態が続いているという。
では、なぜこのタイミングで吸水ケアがこんなにも注目され、吸水パッドの種類も増えているのだろうか。
愛用ブランドの吸水パッドで抵抗感なく使い始められる
「成人女性の3人に2人が尿もれの経験者」というデータがあるほど、実は身近なお悩みである尿もれ。多くの女性を悩ませる尿もれは、運動不足や肥満、妊娠・出産による骨盤底筋群のゆるみが原因であることが多く、咳やくしゃみをしたり、重いものを持ち上げたりジャンプしたりという瞬間にお腹に圧がかかって尿がもれてしまうことから、正式には「腹圧性尿失禁」と呼ばれている。
花王のデータによると、コロナ禍で尿もれが悪化したと感じている人が2割ほど増えてはいるが、尿もれの症状がある人の数そのものに大きな変化はないという。それなのに、およそ10年前と比べて吸水パッドの売場占有率が1.3倍に増えるなど市場が拡大してきているのはなぜなのか。リサーチを進めていくと、3つの理由が見えてきた。
理由1 テレビCMによる認知度アップ
ユニ・チャーム「チャームナップ 吸水さらフィ」のCMに女優の小池栄子さんが登場したのが2017年。その後も各社がテレビCMに女優やモデルを起用し、CMでは「ちょこっともれ」や「ちょぴモレ」など親しみやすい言葉で尿もれを表現。ユーザーに「尿もれで悩んでいるのは自分だけではない」「尿もれは恥ずかしいことじゃない」というメッセージを届けたことで、それまで吸水パッドに抵抗感を持っていた人が購入に踏み切ったと考えられる。
実際、尿もれの症状がある人で、吸水パッドを使用している割合は2010年に18%だったのが、2022年には約50%と大幅に増加している(花王調べ)。
2023.04.18(火)
文=今富夕起
撮影=CREA編集部