フェイフェイの教育スタイルのモデルになったのが、チャールズ皇太子が自らの名前を冠した子供教育を支援する財団「Children&the Arts」の教育理念だった。早い段階から芸術に触れることによって、児童のその後の人生は実り多いものになる。英国ではすでに50万人以上の児童が財団のワークショップに参加している。フェイフェイの運営する教育施設も同財団と「カリキュラム共同開発」で合意し、ともに活動をしている。

 その後、活動を中止した「千代田インターナショナルスクール」(千代田区四番町)を引き継ぐ形で「Phoenix House International School」を開く。現在、日本で小学生に当たる学齢の子供がおよそ210名在籍している。

「自分の経験から言って、小学生の時期は言語習得の最適な時期です」

 英国ナショナルカリキュラム基づいた全課程の学習に加え、日本の文科省学習指導要領と連動する日本語の授業、さらには放課後のフランス語、スペイン語、ラテン語、プログラミング言語のクラブがあるという。内訳は日本人がおよそ40%で60%は外国人。フェイフェイは国際レベルの基礎教育を日本に暮らす子供たちに提供しようとしてきたのだ。

 

ラグビー校の日本進出地として選ばれた「柏の葉」

 2019年、フェイフェイと英国「ラグビー校」との関係ができる。きっかけは同年に来日していたケンブリッジ大学の幹部サイモン・リーバースとの出会いだった。同氏は後にラグビー校の国際担当理事となるのだが、来日した氏が探していたのが日本で国際教育に詳しい人物だった。そこで白羽の矢が立ったのがフェイフェイである。同氏との会話の中でラグビー校の日本進出の話が出た。

 およそ2週間後、フェイフェイの姿は英国の首都ロンドンから車で3時間余りの町、ラグビーにあった。面会したのはラグビー校のピーター・グリーン校長だった。日本進出を考えていた同校とフェイフェイは、すぐに開校候補地の選定に向けた覚書を結ぶ。日本での国際教育を熟知していること、自らそれを実践していること、なによりも次期英国国王の秘書を長らく務めていたことは、名門パブリック・スクールの関係者にとって何物にも代えがたい“信頼”であった。

2023.03.07(火)
文=児玉 博