すごく覚えているのが、加納さんにインタビューした後、いまだに「同業者が嫌い」みたいなことを言ってる自分が恥ずかしくなって。加納さんがいろんな人と関係を持って面白さを徐々に徐々に広げていくことを考えて実行しているのを聞いて、「何が『同業者が嫌い』だ、お前は」って自分自身に。

ーー西澤さんは、「好きなものはベイスターズと猫。嫌いなものは売れてる同業者」って、いつもプロフィールに書いているんです。

加納 (笑)。

西澤 とにかく売れてる人が憎くてしょうがなかったんですよね。ちょっと歪んでるんですけど。

 

加納 でも、それがエンジンになるっていうのはいいことですよね?

西澤 ずっとそう思ってたんですよ。でも、自分だけが面白ければいいというわけでもなくて、女性芸人のシーン全体を盛り上げていく必要がある、という加納さんの話を聞いて、それはどの業界でも一緒だと思ったんです。

 結局、すそ野が広がれば自分に返ってくる。みんなで協力して広げていって、女で面白いことをする人が居るということを当たり前の世の中にしたほうが、絶対自分にとっていいよなって。

なんで女芸人だけ揉めなあかんねん

ーーここ数年で女性芸人をめぐる状況は大きく変わりましたが、加納さんはどう見ていますか。

加納 存在が当たり前にはなってきましたよね。ブワーッと増えてる、っていう勢いは2~3年前ぐらいのほうがあって、今年はそれが、見るほうにもやるほうにもフィットしてきた。

 ただ、数や現象としてというよりは、感覚の頭打ち感はすごく感じました。メチャクチャ主観ですけど。その感覚があるから、これからどうなるのかなっていう。身を置きながら。

西澤 なるほど。今回のTHE Wはどうでした?

加納 私は、楽屋はすごい楽しくなってきた。紅しょうががネタやってる時に、裏で全員でいじったり。年に1回、おもろい関西の女芸人と会える場、という感覚です。

 このパッケージでいいのか?という議論もあるけど、それもこっちが決めりゃいいと思う。審査員の男の人とか男芸人が決めることじゃなくて、女芸人と見てくれる人のものやから。我々が決めればいいことなんだから、ちゃうかったらちゃうで、全然言っていこうって。だって、こんな過渡期ですから。

2023.02.24(金)
文=「文春オンライン」編集部
撮影=末永裕樹/文藝春秋