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コーチングを家庭教師的に活用。先延ばし癖と向き合う

 それから、コーチングを活用してみるというのもオススメ。わたしはいつも計画性がなく、行動を開始するのに苦労し、焦り出すタイミングも平均的に他者より遅いと感じています。以前はこのままだといよいよ間に合わない! というくらいの締め切りの直前にようやく焦りの感情が湧いてきて、ワーッと情緒が乱れてしまうこともよくありました。また、目の前の別の刺激に飛びついてしまうことが多く、長期的な目標を達成することに苦労してきました。

 そこで、自分の苦手なタスク専用の家庭教師のように、月1回ぐらいの頻度でコーチングを活用しています。まず頭の中で取っ散らかっているTo Doリストを整理して一緒に優先順位を付けてもらい、そして期日が最も迫っているものは何か、次までに何をしてきたらいいのか、計画を立て、コーチに監視役を務めてもらっています。今まさに論文を書いたり仕事を進めるためにコーチングを活用しているのですが、意外と期日まで使える時間がないことが明らかになったり、時間的見通しが持てると切迫感が生まれ、かなりタスクが進みやすくなりました。これがもし身近な人だったら「グダグダ言わずにさっさとやりなよ!」とうんざりして一蹴されかねないと思います(わたしでもそう言いたくなるはず)。自分のもやもやしている思考の言語化のプロセスに丁寧に向き合い、フィードバックしてくれる存在はとても貴重です。

 わたしはこうした日常的な心のメンテナンスを通じて、「やっぱり自分はダメなやつだ」と一喜一憂したり価値付けをせず、とりあえず様子をみることができるようになったり、“まあこんなもんだよね”と思って過ごせるようになりました。もちろん浮き沈みもありますが、「世の中はマジョリティ向けに設計されていると思っておく」「自分はそういう生き物だと知っておく」ことで、自己嫌悪の堂々巡りはかなり省略することができると思っています。

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コッピーちゃん

1994年、東京都生まれ。東京大学大学院の心理学博士課程に在籍中。成人期のADHDの適応に関する研究をしている。ADHDや発達障害を始めとしたマイノリティの人たちが生きやすくなるような情報や自分の体験を多数発信。Twitter:@kopo_adhd

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2023.02.28(火)
文=コッピーちゃん