この記事の連載

 最近よく耳にする「大人の発達障害」。自分や家族が発達障害かもしれない?と疑ったら、どうすればいいのでしょうか。東京大学大学院の心理学博士課程でADHDについて研究し、自身もADHDであるコッピ―さんが、「ADHDかも?と思ったら」をテーマに、自身の経験を振り返ります。(前篇を読む)


 自分や家族が発達障害かもしれない? と疑ったら、どうすればいいのでしょうか。発達障害に関する情報は年々増えてきていますが、その分、どんな情報が正しいのか、何を信じたらいいのかが分かりにくくなっていると思います。診断は受けた方がいいのか? 今後どうやって生きていくのが最も良い選択だと言えるのか? これはあくまで個人の経験にすぎませんが、わたしが実践してきたADHDのライフハックを一部ご紹介します。

大人は環境を変えられる。自分を潰さない環境を選ぼう

 よく子どもの発達障害への重要な支援として、症状を軽減するような働きかけをする環境調整があげられますが、大人は調整のみならず、自ら環境を選択することができます。親の代わりに自分を守ってあげるイメージで、自分の障害の症状やこれまで困ってきた問題のパターンを踏まえて、のびのび暮らせる環境はどこだろう? とアンテナを張って選択してみましょう。

 たとえばわたしの場合、なにかを好きと思ったら、その想いが先立ってしまい、イメージ先行で苦手なことが多い環境にも飛び込んでしまう衝動的なところがありました。今はそれを自覚して、履歴書を送るより前にお客さんとして来店してみたり、実際に所属している人の話を聞きに行ったりして、必ず環境を偵察するようにしています。自分の苦手なことに悩まないようにすることが、友人関係や恋人選び、今後の生活環境を選択する優先的な基準になっています。今までとは違う基準で環境を選択してみることが、同じ種類の失敗のループから抜け出せるきっかけになるかもしれません。

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2023.02.28(火)
文=コッピーちゃん