CREA WEBで2012年11月から始まった連載「伊藤まさこのてくてく京都散歩」が1冊の本になりました。「ここ数年、月に一度の京都通いはあたりまえ」という伊藤さんが、「おいしい」「楽しい」と感じたものだけを厳選した『京都てくてくちょっと大人のはんなり散歩』。1年以上にわたる取材のなかで見えてきた、新たな京都の魅力とは?

自転車で街をめぐると、いつもと違う景色が見えました

『京都てくてくちょっと大人のはんなり散歩』
著・伊藤まさこ
定価:本体1300円+税

――「黄色い本(『京都てくてくはんなり散歩』2008年刊)を持っている人、いっぱい見かけますよ」と京都の人に言われるようになって5年、京都散歩の第二弾となる『京都てくてくちょっと大人のはんなり散歩』が発売されました。「続」とか「第二巻」でなく「ちょっと大人の」がタイトルに加わったのが注目されます。何が変わったのでしょうか。

伊藤 この5年間に京都の知り合いが増えて、通う頻度も高くなりました。前は年に3~4回だったのが、今ではほとんど毎月で、多い月には二度、三度訪れるようになりました。それに応じて人との関わりが深くなったように思います。彼らに教わったり、歩いて見つけたり、あらためて紹介したいところがたくさんあるな、と思っていたら、編集の方に「新しい本を、作りましょう」と言っていただきました。

「嵐電沿線は、なんかええ」より

――人とのつながりといえば、京都のコーヒー焙煎家で仲間と喫茶店も経営するオオヤミノルさんに地元ならではの穴場(!?)スポットをご紹介いただいていますね。

伊藤 京都にはずいぶん通いましたが、知らないエリア、入りにくい場所はまだまだあります。知人に案内してもらうことで、旅するだけではわからなかった、一歩踏み込んだ京都の顔が垣間見えてきたように思います。京都の人は観光客に対して「なぜそんなに京都に来るの?」と疑問を抱いてるようなところがありますが、ご自身たちもちゃんと京都のいいところを認めている。そんな場所を教えていただきました。しかも車でなく自転車でまわるというのがよかったですね。ほどよい距離で、移動の楽さもありますが、車では見過ごしてしまうようなところに行けます。いろいろなものが目に入って、いつもと違う景色が見えました。

本田味噌本店/「自転車に乗ってすーいすい」より

京都てくてくちょっと大人のはんなり散歩

大人の京都旅は、ゆったり、しみじみ。
トロッコ列車でもみじ狩り、摘み草料理で春の味……。楽しくて癒される「京都の過ごし方」が詰まったフォトエッセイ。待望の第二弾!

著・伊藤まさこ
本体1300円+税 文藝春秋刊

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2013.11.20(水)