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雲の上を船が進んでいくような幻想的な世界が広がる氣嵐

 大型漁船が停泊する気仙沼湾は、海から陸地に深く入り江が入りこんだ独特の景観自体もきれいですが、キンと冷えた冬の早朝、その姿は変貌します。夜が明けるころ、海に陽がさしはじめると海面いっぱいから霧が立ちのぼり、霧が濃くなるにつれて雲海のような姿に変わっていきます。

 これは「氣嵐(けあらし)」と呼ばれる現象で、陸地の寒気が海に移動して海水面の水蒸気を冷やすことによって発生するもの。海と陸の温度差が生み出す自然の神秘の光景なのです。川などでも見られる現象ですが、漁港でこの光景が見られるのは非常に珍しいそう。というのも、風や波があると霧が飛ばされてしまうので、鏡のように波が穏やかな気仙沼湾だからこそ叶う眺めなのです。

 上り始めた薄明るい朝日を背景に、雲海の中を大きな船が行き交うシーンは神々しいほど美しく、寒さも眠気も吹き飛ぶ最高のご褒美体験に。

 気仙沼で氣嵐が発生するのは、雪が降る前の初冬のころ。よく晴れて風もおだやかな早朝に見ることができます。日の出の時間をチェックして、夜が明ける直前からスタンバイするのがおすすめ。安波山など高台から港を一望するのもいいし、市場屋上の展望台から大型漁船越しに氣嵐を眺めるのも迫力があって素敵。写真を撮るならば、昇る朝日を目の前に逆光で撮影してみて。黄金色のフォトジェニックな写真がきっと撮れるはず。

氣嵐情報

例年、10月中旬~1月下旬の、日の出時刻から約1時間くらいの時間帯に発生。
おすすめの見学場所は、気仙沼湾が一望できる「安波山 駐車場」や、「海岸通り岸壁」、「魚市場市場屋上駐車場」など。
●週末の氣嵐予報は下記をチェック(ウェザーマップ)
https://kesennuma-kanko.jp/kearashi/

2023.01.19(木)
文=嶺月香里
撮影=かとうまさゆき(氣嵐)、橋本 篤